第3期生 早川 勝夫さん

早川 勝夫さん 第3期生
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
事業企画本部 能力開発部 統括部長

– 本専攻に入学しようと思ったきっかけを教えてください

IDは、大学でのあらゆる業務に活かせそうです。
私は約6年前に、営業から教育の部署に異動になったのですが、どうも企業内教育がうまくいっていないと感じていました。 例えば、何のための研修なのか目的もよくわからないし、ゴール設定も出来ていない。 営業から来た自分としては、ゴールが無いのは信じ難かったですし、現状の課題とゴールをつなげるのが教育の役割だろうと思ったんです。 そこで試行錯誤しながら、研修そのものから教育システムの全体まで、とにかく色々変えていったんです。
そして上手くいってきたなと思うようになった頃、2005年のことですが、MRの教育センターで実施されたトレーナー向けのセミナーではじめてID(インストラクショナル・デザイン)というものを知りました。
その時はADDIEモデル(※1)を紹介されたのですが、私は教育センターの方に「弊社ではもう同じことをやっていますよ」と言いました。 すると「それは、本当ですか?」「やっています」となり、実際に弊社の取り組みを見てもらうことになりました。

そして2006年2月のことですが、MR教育センターの応用セミナーにて、弊社の事例を紹介させていただくことになりました。そこには、鈴木先生も参加されていたのです。 そして「たしかにこれはIDだ」と言っていただき、さらに色々とアドバイスをくださいました。
我々が取り組んできたことは間違いではないことを確認すると同時に、我々はものすごく苦労して実践しながら、2~3年もかけた末にやっとわかってきたのに、世の中にすでに理論として体系化されていたのかと驚きました。 今思えば、何と無知であったことか(笑)と、反省しきりです。
自分で考えてきたことと、同じ方向の学問があり、それを学ぶ場があり、なおかつそれが、働きながら遠隔でできるという、私自身にとっては、これ以上の環境は無いことを知り、早速申し込もうと思いました。 しかし、大学院の応募締め切りがこんなに早いとは知らず、気付いたときには、2007年の募集は終わっていました。
そこで、科目履修生として、4科目を学習し、2008年に前期課程に入学しました。

– 普段はどのように学習を進めていますか?仕事と学習の両立は大変ではないですか?

実は・・・こんなことを言ったらまずいかもしれませんが、今年はほとんど勉強時間をとっていないのです(笑)。 なぜかというと、、科目等履修生と して過ごした1年間は、IDを勉強したいというやる気にあふれていたので(笑)4科目では物足りなくて、(科目等履修生では)履修出来ない科目の教科書や 参考文献も事前に読んで、自学しました。また、科目履修生として、4科目(8単位)を取ってから入学したので、1年次に履修する科目が他の人より少なかっ たこともあります。 ですからこの1年は、締切前だけ集中し、課題を提出したという感じです。それでも、土日は、ほとんどつぶしました。

– 教材や課題はどんなものですか?特に、2008年度からSCC(ストーリー・センタード・カリキュラム)が始まりましたが。

SCCは、ストーリーに沿って各科目に関連性をもたせて学習を進めるものです。 ストーリーの内容は、自分がある会社に所属しているという設定で、1週間ごとに業務命令がきます。 「○○という問題が起こりました。A科目の第1回~第2回と、B科目の第3回を学習して解決策を提案してください。」という感じです。
SCCは、科目のつながりがわかりますし、ストーリーの状況を俯瞰することで客観的な視点になれるところがおもしろいですね。 そうはいっても、今年はまだ各科目の中身(教材)は基本的に前年度と同じもので、ストーリーに沿ってはいないので、今後改良を重ねるともっと学びやすくなると思います。
また、基本的には毎週締切があるので、学習者としてはちょっとキツイですね(笑)。ものすごい外的動機付けです(笑)。 教える側にとっては、学習者をしっかりウォッチして、遅れた人を早めにフォローすることが出来るところがいいと思いますよ。
それから科目の課題とは別に、毎週「週報」という形のレポートを提出するのですが、これによって直近に学んだことのリフレクションができていると思います。半年、1年と積み重なったときに、きっと役立つと思います。 ただし(学習者にとっては提出課題が増えることになるので)その時はキツイのですが(笑)。

– 教員や他の学生とのコミュニケーションはどうやって取っていますか?

1年前期はBlackboard(※2)の掲示板上でのやり取りが中心で、活発にコミュニケーションできたとは言い難いですが、1年後期のeラーニング実践演習という科目でグループ学習をするようになって変わりました。 掲示板だけではお互いの意思を確認して課題を提出するのに時間がかかるので、締切に間に合わないということになり、Adobe Connectやスカイプといった同期型のツールを頻繁に使うようになりました。 遠隔でも、同期型のツールを使えば問題なくコミュニケーションできることを実感しました。 私はいままでAdobe Connectもスカイプも使ったことがなかったんですが、ばっちり操作を覚えました。これも収穫です。

– 入学してからこれまでに、何が学べたと思いますか?

今一番思うのは、「つながってきた」ということですね。 今まで実践の中で蓄積した経験と、本や文献で勉強したこと、そういったことがこの専攻にて体系立てて学ぶことで、つながってきました。 教育のことだけでなく、ITのこと、マネジメントのこと、さまざまなことが。 さらに理解しようとして、また自分で調べ始めたり・・・これだけ真面目に、集中して勉強しているのは今までになかったです(笑)。
でもIPが1科目しかないのは残念ですね。 これからビジネスチャンスにもなりえると思うので、もっと深くやりたいですし、研究対象としても、おもしろいと思います。

– 学んだことは、今後お仕事にどう活かせそうですか?

もうすでに、活かしまくっています(笑)。 例えば、新入社員研修ですと、これまでも協調学習にて、学習者の自主性に任せた教育方法をとってきたのですが、もう一歩進めて認知科学的なことを取り入れ、自立した学習者を育成しようとしています。 また、キャロルの時間モデルを参考に、色々な変数を変えてみた研修もあります。
今年は4つのプロジェクトを立ち上げ、学んだことを使って、新たなチャレンジをします。

– 本専攻へ入学を考えている方へのメッセージをお願いします

働きながら勉強することはすごく大変だと思いますが、皆さんも是非チャレンジしてください。 忙しい中でどう時間をコントロールして、勉強するかを考えていくことは、とても楽しいと思います。 年齢に関係なく(私も学習には危険な年齢です)、是非チャレンジして欲しいと思います。企業で教育に携わる方や、高等機関で働かれている方、その他教育に携わる方にとって、働きながら学ぶ機会を得るチャンスです。 また、本専攻で提供される、ID、IM、IT、IPを総合して学習することは、必ず皆さんに、新たな知見を与えてくれると思います。 そして日本にいい教育を広めてください。入学をお待ちしています!

(2009年2月インタビュー)

※1 ADDIEモデル(アディーモデル):インストラクショナル・デザインにおいて提案されてい る、教材開発や教育システムの開発工程モデル。分析(Analysis)、設計(Design)、開発(Development)、実施 (Implementation)、評価(Evaluation)の頭文字を取っている。
※2 Blackboard:代表的なLMS(Learning Management System)の一つ。様々な教材の提示、スケジュール管理、成績管理などができ、インターネットに接続されているコンピュータからブラウザを用いて利用 する。熊本大学で全学的に採用している。


※ 登場している方々のご所属および本専攻のカリキュラムや科目に関する記述は、インタビュー当時のものです。

 

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