第9期生 中前雅美さん

中前雅美さん 第9期生
京都保健衛生専門学校 臨床検査学科 教員

– 現在のお仕事について簡単にご紹介いただけますか。

専門学校の臨床検査技師養成課程で教員をしています。学生の生活指導や勉強指導、また入学して最初の病院実習の学内指導を担当しています。

– 本専攻に入学しようと思ったきっかけを教えてください

学生を教えるようになってから、先輩教員のやり方を見よう見まねで、自分なりにアレンジしながら授業をしていました。ただ、そのやり方だと、やはり限界があって、「こういうとき、どうすればよいのだろう」と悩むことも多く、教え方の理論的背景が自分にはないことがずっと気になっていました。
それで、教え方についてインターネットで情報収集している時に、ファカルティ・ディベロップメント(※)という言葉を知りました。私の担当する科目では、実習前の学習を対象としているので、ただ科目の内容を習得するだけではなく、社会人としての態度や振る舞いを含めたトータルな能力の育成が求められます。そのため高等教育の中で、能力開発という視点に立って、授業を改善しようというファカルティ・ディベロップメントに興味を持ちました。
さらに、ファカルティ・ディベロップメントについてインターネットで情報収集を進めていたら、インストラクショナルデザインという言葉に出会い、それを熊本大学で学べることを知りました。専攻のウェブサイトを見ていたら、「あ、教え方を教えてくれるんだ」と思って、しかも「インターネットで全部学べるの? 仕事辞めなくていいの?」と思いました。本当、私がさがしていた理想の場所だと、びっくりしました。

※ファカルティ・ディベロップメントとは:授業内容の改善や教える技術や方法の向上のための組織的な取り組み。教員相互の授業参観の実施、授業方法についての研究会の開催、新任教員のための研修会の開催など、大学教員の教育能力を高めるためのさまざまな支援活動をさす。

– 興味を持たれてから、どのような経緯で受験に至ったのでしょうか。

専攻のことを知ってから少しあとに、2012年に大阪で開催されたインストラクショナルデザイン公開講座(※)に参加しました。公開講座では、授業の事例に対して、ARCSモデル(※)の観点から課題を抽出するワークに取り組みました。この体験を通じて、何が原因で授業がうまくいかないのかを、問題の因果関係をきちんと考えて授業改善に取り組まないといけないのだなと感じました。また、自分の授業の何が悪くて、自分は何がよくわかっていなかったのかについて理解することができました。公開講座に参加して、インストラクショナルデザインを勉強しないといけない、と強く思いました。
ただ、その年は研究計画書が書けなくて、一旦受験を諦めました。でもやっぱりやらなきゃなとずっと思っていたので、翌年は早めに準備を始めて、やっと入学することができました。

※インストラクショナルデザイン公開講座とは:熊本大学大学院 教授システム学専攻が提供する学びのエッセンスをコンパクトに体験できるインストラクショナルデザイン入門講座。1日完結型で毎年11月に入門編(東京・大阪・名古屋・福岡)、1月に応用編(東京)が開催されている。

※ARCSモデルとは:授業や研修を企画したり教材を開発したりする際に学習者の動機づけを高めるための指針をまとめた、代表的なインストラクショナルデザイン理論。アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラーが提唱した。学習意欲を高める手立てとして、広く教育現場で活用されている。

– 実際に入学されて、いかがですか。

大変です! 入試の面接で喜多先生に「課題とか大変ですけど、どうしますか」と聞かれたんです。その時、「睡眠時間を削ります!」ってあっさり答えていたんですが、本当にその通りになりました(苦笑) かなり削っています。
ただ、睡眠時間は削っていますけど、あまりきつくはないんです。好きでやってるというのがすごくあります。眠いし、疲れるし、やりたくない時もあるんですけど、正直やってて楽しいです。内容は難しいですけどね。それは絶対に言えます。
これまで教育について経験と勘と度胸で取り組んでいました。それが、授業で事例を体験しながら、自分のものにしていく過程で、考え方がだんだん変わってい仕事でのアウトプットも、どんどん良くなっていると実感しています。

– どのように学習を進めていますか。

片道20分から30分の電車通勤の間に、あらかじめパソコンにダウンロードしておいた、資料を読んで、思いついたことをメモしておきます。帰宅後2〜3時間くらいかけてそのメモをまとめながら課題に取り組むというのが基本パターンです。毎日、コツコツすこしずつ形にしながら進めるようにしています。その分、週末はまとまった時間をかけて課題に取り組んでいます。

-学生間のコミュニケーションはどのようにとられていますか?

同期でFacebookグループを作り、「これわからへん!」って、よく投稿し合っています。そうすると、誰かが情報を教えてくれたり、誰かが「そうなん!」て会話を拾ってくれたりします。同期で「がんばろう」という感じで、励まし合っています。必ずしもいつもグループが活発というわけではないのですが、いざとなったら聞けるという安心感がいいですね。
あと、私は職場が京都なんで、大阪のまなばナイト(※)や大阪の同窓生の飲み会などの機会は逃さず参加するようにしています。リアルな場へ行くと、やはり相談しやすいし、話しやすいんですよね。eラーニングで勉強できるのはメリットですけど、すぐに反応が返ってくるリアルのディスカッションも大事だと最近よく思います。

※まなばナイトとは:熊本大学大学院教授システム学専攻の同窓会が開催する参加型ワークショップです。年4回程度のペースでインストラクショナルデザインについての情報交換を行っています。詳細はこちら

– 入学してもうすぐ一年ですが、現段階での収穫はなんですか。

教えることや目の前の課題に対して、「解決できそう」っていう期待感を得られたことですかね。ここで勉強したことを使ったら、今の問題を解決できるんじゃないかな、そういう明るい気持ちになれました。
また、他にも勉強している仲間がいるので、刺激を受けて「自分もまだまだ勉強しなきゃ」って、モチベーションが上がります。同級生もそうですし、何年もお休みをしながらも勉強を続けている先輩の存在が、とても励みになります。
それから、私は、先生が一所懸命黒板に書いて説明をして、それを試験の前に覚えるという教育しか受けてこなかったので、教え方を考えるとき、そこからしか始められませんでした。ただ、1年学んで「そうじゃないやり方がいっぱいあるんだよ」「自分が何を勉強したいのっていうのが一番基本なんだよ」ということに気づきました。なんでこんな簡単なことに気づかなかったのか、と思いましたが、衝撃でした。
これまでは、授業をどうやってやろうか、というやり方ありきの発想しかありませんでした。「なんのためにそれをやりたいの」っていう、学習目標からさかのぼって、最適なやりかたを考えることが大事なんだ、という当たり前のことに気づかせてくれたことが、一番の収穫だと思います。

– 最後に、これから入学を考えている人にメッセージをお願いします。

大変だけど楽しいので、是非一緒にこの充実した日々を味わいましょう。絶対に後悔はしないと思います!

(2015年2月インタビュー)

※ 登場している方々のご所属および本専攻のカリキュラムや科目に関する記述は、インタビュー当時のものです。

 

 

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