第10期生 大庭(小玉)小百合さん

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大庭(小玉)小百合さん 第10期生
千葉大学 運営基盤機構 男女共同参画推進部門 特任研究員

– 現在のお仕事について簡単にご紹介いただけますか。

大学の教職員を対象に、ワーク・ライフ・バランス実現を支援するための制度の実施や、意識啓発のためのセミナーの企画・運営、女性研究者のキャリア支援等を担当しています。平成27年度からは、文部科学省ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(連携型)に採択され、研究者の研究活動推進のための支援等も担当しています。

– 本専攻に入学しようと思ったきっかけを教えてください

入学前は、会社員をしながら夜間大学院で経営学を専攻し、女性のキャリア形成について研究しました。その後、キャリアアドバイザーとして大学に勤務し、学生のキャリア支援担当を経て、現在の大学に移りました。現在の大学では、任期付きの研究員として、女性研究者支援のプロジェクトを2つ経験し、現在3つ目を担当しています。プロジェクトでは、担当教職員との連絡や調整、新しい制度の立ち上げや運営、シンポジウムや研修の企画・運営等を担当してきました。様々な経験ができ、充実した日々を過ごしていましたが、ふりかえってみると業務に注力しているうちに、研究からはどんどん離れてしまい、研究実績を積んでこなかったことに気がつきました。しかし、日々の業務を進めながら、独りで研究を進めていくことは容易ではありません。自分で研究の時間を作り、ペースを維持することや、自分の取り組みに対して、周囲からフィードバックをもらえる環境が必要だと思いました。

自分の今後の研究者としてのキャリアにつなげていくために、もう一度大学院で研究をしようと思いました。ただし、学び直すとしても、何か仕事をしながら、家庭とも両立しながらと考えていたので、通学で学ぶのは難しいと考えていました。以前、夜間大学院に通っていた時、平日の夜や土日はほとんど授業で埋まってしまい、通学しながら学ぶ時間を確保することの難しさを痛感していました。

そんなことを考えながら、大学院についての情報収集をしているときに、2012年12月にGSIS(※注1)が主催しているイベント「まなばナイト(※注2)」に参加したことを思い出しました。その時のまなばナイトでは、専攻の修了生の方々が、修了後に職場でどう学んだことを活かしているのかについて、事例紹介を行っていました。大学関係者の方や企業で人材育成に携わる方など、多彩な背景を持つ方々が事例を報告していて、魅力的なコミュニティだと思いました。また、eラーニングで大学院の講義を受講できるのであれば、空いている時間を利用して学べることができるので、仕事と家庭を両立しながら研究することができると思い、あまり深く考えないまま受験しました。

実際に入学してみたら、他の在校生の方は、科目等履修生制度(※注3)を使って、いくつか単位を取得してから入学されることが多いと知り、戦略的に進めていかないと、すごく大変だということがわかりました。

※注1 GSISとは
教授システム学専攻の英訳(Graduate School of Instructional Systems)の頭文字からとった専攻の略称。在校生や同窓生は、親しみを込めて本専攻のことをGSIS(ジーシス)と呼んでいる。

※ 注2 まなばナイトとは
熊本大学大学院 教授システム学専攻の同窓会が開催する参加型ワークショップです。年4回程度のペースでインストラクショナルデザインについての情報交換を行っています。詳細はこちら

※注3 科目等履修生制度とは
専攻に入学した学生以外の者が、授業科目を履修できる制度です。正規学生同様に試験を受け、単位を習得することができます。修得した単位は、正規学生として入学した際に、申請により上限10単位まで認定されます。詳細はこちら

–  実際に入学されて、いかがですか。

本当に予想以上に大変です。eラーニングなので自分のペースで学べると思っていたのですが、常に締め切りを意識して課題をこなしていかなければ授業のペースに追いついていきません。自分のペースで学習を進められるとのんきに考えていられないのだともわかり、何だか大変なところに来てしまったなと思いました。

入学前は、eラーニングなので、講義を動画で視聴して進めていくのだろうと思っていました。ただ、動画を見続ける授業だと、途中で飽きて続けられなくなるんじゃないかと不安でした。

しかし、この専攻の学習スタイルは、全く違います。講義のように学習者に知識を伝授するだけのような科目はほとんどありません。レポートや掲示板でのディスカッションが中心で、学生にどんどんアウトプットを求めます。

飽きてしまうのではないかと思う暇がないくらい、こなしていかなければならない課題が多いですし、学んだことが予想以上に仕事にも役立ち、面白いと感じています。また、e ラーニング実践演習Ⅰ(※注4)など、学生同士のチームで進める科目があり、迷惑をかけられないと思うと、途中で投げ出すことを考える余裕さえありませんでした。

※ 注4 eラーニング実践演習Ⅰとは
1年次後期に開講されている必修科目。学生4名程度でチームを組み、協働してeラーニングの開発プロジェクトに取り組む。
詳細はこちら

–  学んでいることは、どのように役立っていますか?

科目で取り組む題材は、自分の現在の業務に直結する内容が多いので、専攻での学びが直接的に仕事に役立っています。たとえば、インストラクショナルデザインⅡという科目では、学生自身が職場で従事している研修の企画・改善に取り組みます。私は、普段の業務で携わっているワーク・ライフ・バランスをテーマに選び、教員向けの研修会を企画しました。これまでは、ワーク・ライフ・バランスというと、育児や介護に関する制度を整備し、その制度活用を周知する活動が中心でしたが、それだと育児や介護に関係のない人は、ワーク・ライフ・バランスの問題を自分ごととして認識してもらえず、実践には結びついていかないという問題を感じていました。そこで、受講者である研究者にとって身近な事例を研修会に盛り込んでみることにしました。時間管理という多くの人に共通する悩みをテーマに、研究者がワーク・ライフ・バランスを実践する上でどんな工夫ができるかを事例として盛り込みました。

その後、実際に授業で考えた研修会を職場で実践しました。アンケートでの評価は高く、受講者の方からは「とても役立つ内容だった」とコメントをいただき、企画した研修の内容に手応えを感じています。

今後、この研修会をさらに改善し、一人でも多くの方に活用してもらえる研修にするために、eラーニング化していきたいと考えています。そしてこの取組を修士論文にまとめていくつもりです。

–  普段は、どのように学習を進めていますか?

平日の通勤電車の中と帰宅後の空き時間、それと家族にも協力してもらい、週末の土日どちらか1日は学習日にするようにしています。週末はできるだけ集中して勉強できるよう、意識して時間を作っています。

また、通勤に往復4時間かかるので、タブレット端末を持ち歩いて、電車の中や空き時間に課題のアイディアを入力したり、小テストを解いたり、文献を読んだりしています。家では入力しておいたアイディアを元に、課題レポートを書いたり、eラーニング実践演習などのチームで進める科目では、メンバーとスカイプで打ち合わせをしたりすることもあります。

入学前に参加したまなばナイトの個別相談会で、OBの方に学習を進めるコツを聞いたところ、「eラーニングは、とにかく発信しないと相手にこちらの状況が伝わらない。悩んで課題を提出できないとしても、提出しなければ先生にはこちらがどんな状況なのか伝わらない。完璧でなくても良いからどんどん提出した方が良い。もしダメなら再提出するよう言われるから、もう一度直して出せば大丈夫。とにかくどんどん提出することがコツ」と教えて頂きました。このアドバイスを常に意識して、悩んでもとりあえず形にして締め切り前に課題を出すことを心がけています。レポートや教材のプロトタイプなどの形にすると、掲示板で他の学生のみなさんがコメントをくれますし、先生も課題に対するフィードバックをしてくださいます。そうすると、次に自分がやるべきことや改善すべきことが見えてきます。とにかく前に進める、自分の考えを形にすることを意識して取り組んでいます。

–  学生間のコミュニケーションはどのようにとられていますか?

普段はFacebookでコミュニケーションをとっています。

GSISの入科式で、Facebookで情報が得られるからぜひ始めると良いと勧められ、Facebookを始めました。学習を進めていく上での悩みを投稿すると、先輩や同期から、学習を進める上で役立つ情報を教えてもらったり、励ましの言葉をもらったりして、貴重な情報源になっています。その他には、年に2回ある合宿(注5)や、集中講義などのリアルなイベントにできるだけ参加して、同期や先輩と交流を図るようにしています

※注5 合宿とは
1泊2日の教授システム学専攻ゼミ合宿のこと。半期に1回、熊本県近郊で開催し、学生・教員は自由参加です(合宿への参加は修了要件に含まれません)。

–  先生とのコミュニケーションはどのようにとられていますか?

私は東京オフィス(※注6)まで1時間くらいのところに住んでいるので、東京オフィスでオフィスアワーが開催される際には、できるだけ時間を作って参加するようにしています。課題で悩んで進めなくなった時でも、オフィスアワーに参加することで、先生から直接アドバイスをもらうことができます。また、そこに参加している先輩や同期にも相談にのってもらうことができ、学習を進める上で思わぬヒントを得られたりします。どうしてもeラーニングだけだと煮詰まってしまうことがあるので、対面で会う機会があると、一人で学んでいるんじゃないと思え、学習のモチベーション維持にも役立っています。

※注6 東京オフィスとは
東京(田町)にある熊本大学のオフィスです。集中講義やオフィスアワーのほとんどが、この東京オフィスで開催されます。詳細はこちら

– 入学してもうすぐ一年ですが、現段階での収穫はなんですか?

一番大きな収穫は、GSISで学ばなければ出会うことがなかった同期・先輩・先生との出会いです。私は、人見知りで、積極的に前に出ることが苦手でした。専攻での同期とのディスカッションや先輩からのアドバイス、先生からの指導を通じて、自分の考えを発信することの大切さを学びました。自分で発信しなければ、周囲から有益なフィードバックを得られませんし、自分が次にやるべきことがみえてきません。専攻のみなさんに影響を受け、積極的に自分から発信することの大切さを学び、行動することを心がけるようになりました。

また、GSISで学んでいることや、学ぶ上で締め切りを意識しながら課題を進めることや、自分から積極的に発信することは、研修の企画やプロジェクトの運営等、今の仕事にも役立つことが多いので、仕事に対する見方や向き合う姿勢も変わってきたように感じます。

– 最後に、これから入学を考えている人にメッセージをお願いします。?

もし入学を迷っている方は、科目等履修生から始めると良いと思います。すでに入学を決意されている方は、明確な目標を持ち、自ら学び取る意識を持って入学されることをお勧めします。課題をこなしてくのは、とても大変ですが、GSISは自分が学び取ろうとする姿勢を持つことで、多くの学びが得られる場所です。

(2016年3月メールインタビュー)

※ 登場している方々のご所属および本専攻のカリキュラムや科目に関する記述は、インタビュー当時のものです。

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