タイトル「教育工学研究の所産としてのISD関連モデル:どのように役立てるか?」

発表者 鈴木克明(東北学院大学教養学部・大学院人間情報学研究科 教授)
    E-mail: suzuki@izcc.tohoku-gakuin.ac.jp
    URL: http://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp/personal/suzuki/

ハードウェアの進展に追従する傾向が強い日本の教育工学に対して,内容分析とデザインに力点が置かれるアメリカの教育工学。理論と実践,あるいは大学人と企業人の交流が少ない日本に対して,教材開発の実際に裏付けられた理論構築(もしくはその逆),あるいはコンサルタント業務で自らの理論を磨く大学人の存在もアメリカの特色である。

まず,1994年に発表されたAECTによる教育工学の定義について概観し,教育工学に対するイメージのギャップを確認する。次に,アメリカ教育工学の成果物(フロリダ州立大学留学からのおみやげ)の中から,使えそうなモデルをいくつか紹介する。たとえば,ガニェの9教授事象,ケラーのARCS動機づけモデル,ブランソンの情報技術モデルの学校,ディック=ケリーのシステム的ISDモデルなど。

それらをベースに,研究者と実践者の立場,企業教育と大学教育の領域での経験に即して,こんな議論をしてみたい。

■日本の教育工学が,どうしてISDにもっと目をむけないのか。
■アメリカで常識となっているISD関連モデルは,日本の常識にならない(なれない)のか。
■アメリカでは学校教育改革の試みに教育工学者が重要な役割を果たそうとしているが,日本ではどうか。
■アメリカでの研究成果は,文化が異なる日本では使い物(売り物)にならないのか。
■アメリカの大学院で教育工学を学んだ同級生のほとんどは企業に就職したが,日本では何故そうならないのか。
 (※岩手県立大学ソフトウェア情報学部鈴木研究室から,平成14年3月に第1期生卒業予定です。)
持参予定資料
1)「AECTによる教育工学の定義をめぐって」日本教育工学会秋の学校(1996)話題提供資料
2)「学習プロセスを支援する作戦(ガニェの9教授事象からのヒント)」講義資料
3)「学習意欲を高める作戦(ARCSモデルからのヒント)」講義資料
4)「教育におけるコンピュータ利用の未来—これからの学校はどう変わるか—」通産省東北通産局主催 ソフトウエーブ21講演資料(1993.11.5.)
5)「CAI教材の設計開発における形成的評価の技法について」『視聴覚教育研究』17(1987)1-15