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- 岩手県立大学ソフトウェア情報学部
- 鈴木克明・根本淳子
- ksuzuki@soft.iwate-pu.ac.jp
- http://www.et.soft.iwate-pu.ac.jp/
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- 内容:最近のインストラクショナルデザイン(ID)理論の動向をまとめて報告する。IDは、eラーニングを効果的にするための教育学的基盤として重要性が認知されるようになってきた。しかし、いまだに分析—設計—開発—実施—評価のプロセスを示すものとしてのみ理解されているケースが見られる。40年に及ぶID理論の歴史的経緯を鳥瞰し、6月に取材した米国を代表するID理論家へのインタビューも紹介しながら、eラーニングを効果的で効率的で魅力あるものにするために役立つIDの最新動向を分析する。
- メッセージ:ID理論は、学習者中心デザインへの統合に向かって動いています。
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- 理解への多面的アプローチ:Howard E. Gardner
- 理解のための教授と学習(TfU) : David Perkins & Chris Unger
- 開放的学習環境(OLE) : Michael Hannafinら
- SOI(選択・組織化・統合化)モデル: Richard E. Mayer
- GBS(Goal-Based Scenario)モデル: Roger C. Schankら
- STAR遺産モデル: Daniel Schwarts, John D. Bransfordら
- CLE(Constructivist Learning Environments)モデル: David Jonassen
- CPS (Collaborative Problem Solving)モデル: Laurie M. Nelson
- 学習コミュニティ形成論: Allan Collinsら
- SRL(教師のための自己制御学習設計論)・協同的革新(Collaborative Innovation)モデル: Lyn Corno &
Judi Randi
- 学習障害者支援設計(HOTS) : Stanley Pogrow
- ランダ方式(Landamatics) : Lev N. Landa
- 統合的テーマ学習: Susan J. Kovalikら
- 教授トランザクション理論(ITT) : M. David Merrill
- 精緻化理論(Elaboration Theory) : Charles. M. Reigeluth
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- 現実世界で起こりそうな問題の解決に学習者を引き込め
- 研修コース・モジュールを修了するとどのような問題が解決できるようになるのか、どのような業務ができるようになるのかを示せ
- 単に操作手順や方法論のレベルよりも深いレベルに学習者を誘え
- 解決すべき問題を徐々に難しくして何度もチャレンジさせ、問題同士で何が違うのかを明らかに示せ
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- 学習者の過去の関連する経験を思い起こさせよ
- 新しく学ぶ知識の基礎になりそうな過去の経験から得た知識を思い出させ、関連づけ、記述させ、応用させるように仕向けよ
- 新しく学ぶ知識の基礎になるような関連する経験を学習者に与えよ
- 学習者がすでに知っている知識やスキルを使う機会を与えよ
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- 新しく学ぶことを単に情報として「伝える」のではなく「例示」せよ
- 学習目的に合致した例示方法を採用せよ
- (a)概念学習には例になるものと例ではないものを対比させて
- (b) 手順の学習には「やってみせる」ことを
- (c) プロセスの学習には可視化を, そして
- (e) 行動の学習にはモデルを示せ
- 次のいくつかを含む適切なガイダンス(指針)を学習者に与えよ
- (a) 関係する情報に学習者を導く
- (b) 例示には複数の事例・提示方法を用いる
- (c) 複数の例示を比較して相違点を明らかにする
- メディアに教授上の意味を持たせて適切に活用せよ
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- 新しく学んだ知識やスキルを使うような問題解決をさせよ
- 応用(練習)と事後テストをあらかじめ記述された(あるいは暗示された)学習目標と合致させよ
- (a) 「〜についての情報」の練習には、情報の再生(記述式)か再認(選択式)
- (b) 「〜の部分」の練習には、その部分を指し示す・名前を言わせる・説明させること
- (c) 「〜の一種」の練習には、その種類の新しい事例を選ばせること
- (d) 「〜のやり方」の練習には、手順を実演させること
- (e) 「何が起きたか」の練習には、与えられた条件で何が起きるかを予測させるか、予測できなかった結末の原因は何だったかを発見させること
- 学習者の問題解決を導くために、誤りを発見して修正したり、徐々に援助の手を少なくしていくことを含めて、適切なフィードバックとコーチングを実施せよ
- 学習者に異なる問題を連続的に解くことを要求せよ
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- 学習者が新しい知識やスキルを日常生活の中に統合(転移)することを奨励せよ
- 学習者が新しい知識やスキルをみんなの前でデモンストレーションする機会を与えよ
- 学習者が新しい知識やスキルについて振り返り、話し合い、肩を持つように仕向けよ
- 学習者が新しい知識やスキルの使い方について自分なりのアイディアを考え、探索し、創出するように仕向けよ
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- 学習心理学者として,マルチメディア学習についての多くの実証的研究を重ねてきたMayer (2001)は,次に示す7つの設計原理に研究成果をまとめている.7つの設計原理の応用方法を豊富な事例と「探すべき特徴」のリストで解説した近著「e-Learningと教授科学」(Clark
& Mayer 2003)では,今日e-Learningと呼ばれるものの多くは30年前からあるCBT(Computer-based
Training)と同じであり,多くのe-Learning教材は,画面上に本を再現したものに過ぎないと酷評している.
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- 文章を読む→Enterで次のページに進む。
- 文章を読む→選択式問題に答える→得点が表示される。
- 質問を読む→回答を入れる→フィードバックを読む→次の質問に進む。
- 長い長い文章を読む→最後の最後に質問に答える。
- 開始早々にテストを受ける→得点とフィードバックを得る。
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- □ 画面上で多量の文章を読ませよ
- □ 会社の上層部による長いスピーチを挿入せよ
- □ かわいいアニメーションを学習活動の導入とせよ
- □ 多肢選択式の回答を用意して質問せよ
- □ 回答が間違っていると告げよ
- □ ゲームをやらせよ
- □ ゲームで何点取ったかを告げよ
- □ 現実的でないシミュレーションをつくれ
- □ 受講者の人生に何の関係もないシミュレーションをつくれ
- □ 何の感情も駆り立てないシナリオにせよ
- □ 受講者にスキルを練習させることを忘れよ
- □ 受講者が何も向上することがないようにせよ
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- □ 文章ではなく視覚的な手段で状況を描写せよ
- □ 受講者がミスを犯したときにジャストインタイムにエキスパートからのストーリーを用いよ
- □ 受講者が没入できるようなストーリーの一部としてアニメーションを用いよ
- □ 受講者に学習活動の選択肢を与えよ
- □ まずい選択をした場合には、受講者にわかりやすい「まずい結末」に導け
- □ 受講者が職務上に実行する事柄を練習させよ
- □ 研修での成功を、実務での成功と同じに定義せよ
- □ 受講者自身が遭遇するだろうと認識できるような職務に類似したシナリオだけを用いよ
- □ シナリオは「ありえる」と思えるもので、失敗することは良くないと感じられるようにせよ
- □ 研修の成果が職務上で実感できるように可視化せよ
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- IDとは、ADDIEモデルに代表されるシステム的なeラーニング開発プロセスモデルだけではなく、効果的で効率的で魅力的な学習環境をデザインするための心理学的基盤を持ったモデル・理論を意味する。
- Reigeluthが編集したGreenBookIIにはたくさんのID理論が紹介されていた。それらの理論に共通の要素を拾い出すことで、MerrillのID第一原理(5つ星IDの条件)が提唱された。
- Schankのゴールベースシナリオ(GBS)理論は、退屈なeラーニングを撲滅するためのAIに基づいたもので、企業内教育・大学教育に応用実績を重ねている。
- ID理論は、学習者中心デザインへの統合に向かって動いている。
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