『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:画像媒体(メディア)) 脱稿:2001.8.19.

■画像媒体(メディア)

◆定義 画像媒体(画像メディア)とは、写真やイラストなどの画像を提示している 資料または装置を指す。OHPのTPシート(資料)や投影機(装置)、縮尺地図(資料 )や掛図(装置)などが画像媒体の一例である。画像媒体には、掛図や紙芝居、道路 標識などの光学・電気的な手段によらないものも含まれ、映像媒体よりも広い概念で ある。また、速読訓練のために文章を提示する装置は文字のみを提示するので画像媒 体には含めないため、視聴覚(視覚)媒体よりは狭い概念である。

 一般には、映像媒体、画像媒体、視(聴)覚媒体という用語は同じように使われて いる。これは,画像媒体が画像のみを表示することはまれなので,厳密な区別は意味 をなさないためである。一方で,画像の教育効果を扱った研究では、意識して画像媒 体という用語が使われた。その結果、たとえば、リアルな画像は感性や情感に訴える 効果が高い一方、仕組みを理解させる場合には線画で略して示す方がよいことが分か っている。

◆画像の特徴 画像媒体は、画像によるメッセージを伝えるものとも定義できる。画 像には、写真、イラスト、絵画、アニメーション、分解図、立体図、地図などがあり 、動きをともなうものを動画像、動きをともなわないものを静止画像と言う。言葉や 数字と異なり、画像にはそのメッセージが指し示す対象の視覚的特徴が写し取られて いるため、異なる言語を用いる人々の間でも共通して理解できる可能性がある。しか し、画像は直感的な理解を可能にする一方で、意味を限定しにくい短所もある。同じ 画像を見た人が受け取るメッセージは必ずしも同じではない。また、「人類」などの 抽象的概念を絵にしにくく、論理的に考えるためには文字や数字が必要となる。これ らの性質を踏まえて、画像メッセージは、言語メッセージと適切に組み合わせて用い る必要がある。   <鈴木克明>