『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:双方向テレビ) 脱稿:2001.8.19.

■双方向テレビ [interactive television]

◆定義 放送局からの一方的な映像情報提供メディアであったテレビに、視聴者側か らの情報を収集したり、視聴者が番組の見方を選択したりする機能を付加したもの。 局からの回線を「下り回線」、視聴者から情報を吸い上げる線を「上り回線」と呼び 、上下ともに有線で実現する方式(双方向CATV)と、上り回線を電話などで実現する 方式がある。

◆歴史 双方向テレビの前身は、1949年アメリカのオレゴン州で誕生した難視聴対策 の共同アンテナ受信ケーブルテレビ(CATV)である。日本においても、1990年代に入 って双方向CATVが実用化し、参加型のクイズ番組や、新商品のアンケート番組などを 提供した。1996年10月、テレビ東京は家庭のテレビを電話回線でつなぎ、視聴者がリ モコン操作だけで局に情報が送信できる双方向テレビの本放送を開始した。2001年12 月には、通信衛星(CS)に続いて放送衛星(BS)もデジタル化され、双方向番組が始 まった。

◆米国の状況 CATVが普及している米国では、テレビ受信機の上に置く専用アダプタ (セットトップボックス)の機能を拡張することで、テレビをインターネット端末化 することを含めて双方向テレビが急速に普及している。好きな時に好きな番組を選ぶ ことができるビデオ・オン・デマンド(VOD)システムや、見た番組ごとに料金を支払 うPPV(ペーパービュー)方式などが一般化している。

◆双方向テレビの将来と教育 放送と通信の融合が進み、膨大で多様な情報が提供さ れ、オンラインショッピングや遠隔医療、電子商取引などのあらゆるサービスが、双 方向テレビであれインターネットであれ利用可能になる。また,ブロードバンド(大 容量)ネットワークや蓄積型テレビの普及が見込まれている。それらの新しい技術を 生活に役立てていくために、賢く使いこなす情報活用能力を育てることが求められて いる。 <鈴木克明>