『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:メディアミックス) 脱稿:2001.8.19.
■メディアミックス
◆定義 二種類以上のメディア情報を組み合わせることによってより質の高い思考を
促したりメディア活用能力を育てたりしようとする授業の設計法を言う。主な情報を
もたらすメディアをメイン(主幹)メディア、副次的に用いるメディアをサブメディ
アと呼ぶ。
◆効果 提供する情報の重ね合わせ効果を目指す。より具体的には、情報を相補・増
幅させたり、互いに批判させて異なる立場を明らかにしたり、アプローチの違う情報
でゆさぶりをかけたり、同質の情報で強調したり、多様な発展を促したり、部分的に
深める内容を提供したりする。さらに、多くのメディア利用学習を体験させることで
メディア特性に精通させ、たとえば自分たちの学習成果を発表するときにも、適切な
メディアを選べるようになるのもメディアミックスの効果である。
◆授業過程 主幹メディアでの一斉学習ののち、異なる視点からの情報を提供するサ
ブメディアで一斉学習するもの、あるいは、個人やグループで設定した課題にふさわ
しい情報をメディアごとに集めた「コーナー学習」に進む例がある。また、オープン
スペースにさまざまな情報を分散配置し、教師も子どもたちもいつでも自由に情報メ
ディアに触れることができるような環境を整えて、情報を統合する力を育てた例もあ
る。いずれの場合にも一所懸命調べた結果が、教師の思っている解答を膨大な資料の
中から見つけだすだけの授業にならないような配慮が求められる。
◆関連領域の定義 放送・通信・出版などでは、デジタル化して他のメディアに情報
を転用することをメディアミックスと呼ぶ。エンターテインメント業界や広告業界で
も、各種媒体を組み合わせて、宣伝のための情報伝達効果をあげ、相乗効果でコンテ
ンツの質的向上をはかることをメディアミックスと呼ぶ。ビジネスチャンネルを広げ
て新たなビジネスチャンスを目指している。 <鈴木克明>