『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:ラジオ) 脱稿:2001.8.19.

■ラジオ [radio]

◆定義 無線による音声・音響の放送、およびその受信機のことである。アンテナで 捉えた電波信号は、同調回路、検波器、ならびに受話器によって音響に再現される。

◆歴史 日本におけるラジオ放送は、1925年3月22日(のちに放送記念日となる)に 東京、大阪、名古屋などで開始された。戦前・戦中の国家統制時代と「玉音放送」、 ならびに戦後の民主主義啓蒙時代を経て、1950年代にはニュースや娯楽、教養番組な どを広く提供するマスメディアの花形となった。

 テレビの普及とともに放送メディアとしての主役は譲ったが、1960年代後半にトラ ンジスタラジオの普及で「ながら視聴」や携帯メディア化が進んだ。生放送を軸にし たニュースやナイター中継、災害時の緊急放送、地域情報の提供、電話による受け手 参加の告白番組、はがきによる音楽リクエスト番組などの編成を工夫し、テレビには ない独特の特徴をもったメディアとして再生し続けている。

 1991年にはPCM音声放送が加わり、100局以上のラジオ専門チャンネルが1つの衛星 から提供される時代となる。さらに、「インターネットラジオ」と称する音声・音楽 配信サイトから世界中の放送が受信できるようになり、ラジオの形態も多様化した。 1995年4月には、文字や図形などのデータを表示できるラジオ受信機が発売され、視 覚情報も送れる「見えるラジオ」に進化した。

◆教育でのラジオ利用 ラジオによる学校放送は、1935年から全国放送となり,1960 年頃までは、放送教育の花形であった。放送の持つ全国への広範な情報伝達機能によ って水準の高い教育内容を配信し,教育の機会均等や標準語の普及に貢献した。学校 放送の主力メディアがテレビになった現在でも、聴覚のみの情報で子どものイメージ を豊かに喚起させる特徴などを生かしたラジオ番組が制作され,活用されている。    <鈴木克明>