『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:録画教材) 脱稿:2001.8.19.

■録画教材

◆定義 映像資料をあとから視聴できるように記録(録画)して学習指導用に提供す るもの。古くは8ミリや16ミリフィルムが用いられていたが、VTRの普及によってビデ オテープが主として用いられるようになった。教材メーカーや教科書会社が製作・販 売している市販教材のほかに、テレビ放送を録画したものや、教師や児童生徒が身近 な内容について製作した自作教材などがある。

◆歴史 磁気テープに映像と音声を同時記録する録画の始まりは、1956年の放送業務 用VTRの開発による。一般向けのVTRが開発されたのは1960年代後半であり、現在の標 準となっているVHS方式(日本ビクターが開発)は1976年に登場した。近年では、映 像をデジタル変換したデータで保存する方法も一般化し、ビデオCD、CD-ROM(読み出 し専用コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)などを用いてコンピ ュータ上で録画・再生できるものも増えている。

◆録画教材の教育利用 録画教材の教育利用では、テレビ番組を録画・再生する「カ ンズメ」的利用と、授業を録画して、再生しながら振り返りや問題点の指摘を行う「 カガミ」的利用がなされてきた。前者では、録画された番組をそのまま最初から最後 まで視聴する方法の他にも、長時間の番組を何回かに分けて視聴する分断再生や、同 じ番組を繰り返し視聴する反復利用、番組の一部分のみを視聴する部分利用、あるい は、番組の途中で止めて子どもに問いを発する一時停止などが試みられてきた。後者 では、たとえば体育の実技をカメラで撮影・録画し、それを一定の経過時間後に自動 再生することで試技直後に自分の技のできばえをチェックする仕掛けが工夫されたり 、授業研究の一環として教師同士が授業を検討するために応用されるなど、多角的に 用いられてきた。              <鈴木克明>