『現代学校教育大事典』ぎょうせい、分担執筆(項目:録音教材) 脱稿:2001.8.26.

■録音教材

◆定義 ネイティブスピーカーによる英語の発音や観賞用音楽などの聴覚資料をあと で聴けるように記録(録音)して、学習指導用に提供するもの。カセットテープや音 楽用CD(コンパクトディスク)が一般に用いられている。教材メーカーや教科書会社 が製作・販売している市販録音教材のほかに、ラジオ放送などを録音したものや、教 師や児童・生徒が身近な内容について製作した自作録音教材などがある。

◆歴史 録音技術は、まずレコードのような機械録音方式が1870年代に登場し、その 後電気録音方式に変わる。映画のための光学録音方式が1930年代に現れ、続いて現在 の磁気録音方式が1950年代から主流となった。

 1960年代には、日本独特の簡易録音教材「シート式録音機(シンクロファック ス)」が登場し、当時のティーチングマシンによる個別の自学自習を音でサポートす る教材として実践に用いられた。録音教材は、語学ラボラトリ(LL)などで用いられ るとともに、カセットテープ再生機(いわゆるラジカセ)の普及によって一般教室で も使われている。

◆デジタル化 デジタル技術の進展にともなって、DAT(デジタルオーディオテープ) やMD(ミニディスク)、メモリーカード、メモリースティック、MP3によるインターネ ット音楽配信など形態も多様化し、手軽に利用できるようになった。また、コンピ ュータで再生できる録音教材も増えている。視覚的な情報があふれている中で、音風 景に注目してイメージを喚起したり、音環境から生活を捉える視点で子どもが音を取 材して発表するなど、録音教材の幅広い活用が試みられている。

 デジタル化によって、品質が劣化しない複製が作れるようになったことは、自作教 材の製作や共有にはプラスに作用する。一方で、著作権への配慮がより大切になって いる。              <鈴木克明>