図表4−● インストラクタ訓練と認定についての6段階モデル(米国エネルギー省)
代表的な職位 レベル 代表的な職務 代表的な
受講科目名
代表的な職能
研修・開発
管理職
プログラムリーダー
レベル6 (A)部下であるトレーナーの仕事を計画・管理する管理職・マネージャー。社員教育・人材開発の専門家として位置付けられ、会社の目標を達成する手段として研修が可能な場合のコンサルタント役となる。研修の予算と提案書を作成する。トレーナーと研修成果について評価する。教材や外部コンサルタントなどをアレンジ・提供する。

(B)この職責につく人材には、これまでのレベルに求められることすべてと研修管理論(プログラム計画・評価、研修についての研究、管理運営についての一般論を強調したもので個人指導のみならず組織開発を含むもの)が必要となる。大学院レベルの教育が必須。
研究法
プログラムの立案と評価
職業教育の運営
人材管理
組織開発
年間または数年に及ぶ計画と予算化。有能なスタッフを選抜し、資源を制御し、部下を管理し、動機づけ、活動をスケジュールする。記録をとり、渉外的な関係を保つ
コースデザイナ
研修アナリスト
主任インストラクタ・コーディネータ
レベル5 (A)主任トレーナーとして機能できる経験豊富なトレーナー。カリキュラムを開発し、新人トレーナーを鍛え上げたり、上級コースを自ら担当することもある。研修の評価とアセスメントを実施する。

(B)教育・研修経験が豊富なこと。学習理論やインストラクショナルデザイン、ニーズ研究、事前評価などについての高度な学習経験。管理職への志向があること。学部卒。レベル4までのすべてを含む。
管理者・渉外関係論
個人及び組織の行動学
社員の行動と評価
プログラム評価と修正
社員のパフォーマンス評価
事前分析及び研究を実行する。データを分析し、その結果をプログラムの計画に生かす。プロポーざるを書く。スタッフに対して継続的な研修を計画・実施する。研修デザインや外部からの教材を評価する。
インストラクタ
教材開発者
レベル4 (A)経験豊かな主任トレーナーの下で働く人。様々な部局から集まる受講者に正式な集合研修を実施する。コースの演習課題や教材を開発する。

(B)教育・研修の背景知識が必要(「成人学習者の教授方法」、「職務分析」、「コース開発」、「学習理論」などのコースの受講経験)。「ハウツー」のみならず、「どうしてその方法か」についての準備が必須。レベル3までの研修も必須。
職能研修の方法論
職業分析と研修コース開発(事前分析)
分析とデザイン
教材開発
職能に基づくモデルや多様な評価技法を用いる。学習目標やマルチメディア教材を評価する。研修へのシステムアプローチを活用し、ベンダーが持ち込む教材を利用する。
トレーナー
講義者
レベル3 (A)専任もしくは兼任で研修に当たる個人。第一義的に研修内容領域の専門家で、他者によって開発された教材や教授方法を用いて教室で研修に当たる。

(B)研修内容:教授方法、学習理論、および、コース開発の概論。レベル2までの研修も必須。
インストラクタ研修 集団相互作用法を用いる。クラスでの教授テクニックを用いる。他の者が準備した教材を使って研修と評価を実施する。
Foreman
管理者
レベル2 (A)新入社員の配属先において日常的に、会社が期待していることを徹底させている上司で、職務に直結した研修を実施したり、部署のミーティングなどでインフォーマルに情報提供などを行う。ときに、他の部署の社員を相手に、自分の部署の情報を提供する役割を依頼される。
(B)「インストラクター研修」と研修技法や事前成果分析、教材開発などについての情報を適宜カバーした教材。「ハウツー」情報が主であるが、「どうしてか」の情報も少し。レベル1の研修も必須。
インストラクタ研修 集団相互作用法を用いる。学習ニーズに合わせて教授方略を選択する。パフォーマンス準拠の研修方法のいくつかを用いて教育プログラムを開発する。視聴覚機器を用いる。
メカニック
オペレータ
ワードプロセッサ
電気技師
レベル1 (A)OJTインストラクタとして働く研修内容領域の専門家。他者によって準備された教材を用いOJTを担当し、パフォーマンステストを実施する。
(B)「OJTインストラクタ研修」があれば効果的。「どうしてか」の情報よりも「ハウツー」に特化した研修コースで、個別研修の方法とパフォーマンステストの実施方法を扱う。
OJTによるインストラクタ研修 効果的な学習概念を用いる。職務上のスキルを実演する。パフォーマンステストを実施する。
出典:米国エネルギー省公開文書(1996)『DOEハンドブック:インストラクタの訓練と認定のためのガイドブック』(DOE-HDBK-1001-96)
翻訳:鈴木克明(ksuuzki@soft.iwate-pu.ac.jp)