1. パスワードの重要性

コンピュータ・システムを利用する場合,利用者が本人であることを確認する (「認証」と呼ばれる)処理が通常行われます.この認証をクリアできなければ, 利用者はたとえ本人であっても,システムの利用を開始することができません.
システムの利用開始時には,利用者の名前に相当するアカウント(各利用者を 識別するための「ユーザID」,「ユーザ名」などと呼ばれる)と,これに対する パスワードの入力が求められます.パスワードは正規利用者である本人だけが 知っているという前提で成り立っているため,入力したパスワードがシステムに 登録されているものと一致した場合,それ以降は「パスワードを入力した 利用者は,正規の利用者本人である」ものとして認証が成立します.つまり, パスワードは本人であることを証明するものということができます.
通常,利用者はキーボードを使ってパスワードを入力するため,認証のための 特別な装置は必要としません.パスワードにより認証を行うこの方式は,ネット ワークを使ったシステムにおいても広く採用されている最も一般的な方法です. この方式を採用するシステムが,パスワード入力を行った利用者が本人であるか どうかを認証するために用いる情報は,多くの場合,この「アカウント」と それに対する「パスワード」のみです.
ここで,アカウントの方は学生番号や名前を基に作成されることもあり,比較的 容易に推測されてしまう恐れがあるので,本人かどうかを判定する決め手と するには少々危険です(メールアドレスにおける'@'の左側部分がこれに相当 します).したがって,これと対になった本人のみが知るパスワードは,利用者 本人であるかどうかを表す重要な決め手であるといえます.