第23回山形県視聴覚・放送教育研究協議会 講演資料(1997.10.22.@天童市総合福祉センター)
「生きる力」を拓く:〜起爆財としての放送教育〜
東北学院大学教養学部 鈴木克明
E-mail: suzuki@izcc.tohoku-gakuin.ac.jp
http://www.edutech.tohoku-gakuin.ac.jp
高度情報通信社会を生き抜くたくましい子どもを育てるために求められている「生きる力」。親切な,ていねいな方法を用いて,「わからせること」を中心に進めてきたこれまでの授業で,果たしてそのたくましさが育てられるのだろうか。放送教育の歴史は,閉ざされがちな教室に新しい息吹を送り込むことで,授業の在り方を見直し,学校を変えていこうとした「学校教育改革運動」であったと言う。マルチメディアやインターネットなど社会の変化が学校変革をせまっている今日,「変える」ための起爆財としての放送教育を考えたい。さて,何を「変える」のだろうか?
1.高度情報通信社会と「生きる力」<→資料1>
- 高度情報通信社会をもたらすインターネット
- インターネットは図書室へ:図書室の学習情報センター化
- インターネットは狼少年の再来か,それとも学校改革への起爆財か?
- インターネットで「生きる力」は育つのか?
・問題点:個人情報保護,有害情報,誤情報・偏り,混沌・過多・未整理,中毒
2.放送利用は「もっとわかりやすい授業」のためか?<→資料2,3>
- インターネットの基礎を教える試みで使った番組「情報スーパーハイウェイ構想」
・未来社会のイメージ:「高度情報社会」から「高度情報通信社会」へ
・情報スーパーハイウェイ構想とゴア副大統領の生い立ち
・インターネット活用事例(図書館,学校,商用利用,音楽業界など)
- 流動食を与えていては、噛み砕く力は育たない:教え過ぎ・親切授業への警鐘
- 不思議だなあ、ほんとかなあ、自分で確かめたい、と思わせること
- 学校教育改革運動としての放送教育≒30年前のインターネット
3.メディア利用で授業の何を変えるのか?<→資料4,5>
- 何ができたら「よし」とするか:「生きる力」をつけることか?
- メディア活用で子どもを育て、人間教師を生かす:助っ人を使いこなす力量
■資料一覧■
- 鈴木克明「インターネットは狼少年の再来か、それとも起爆剤か〜教師が直接教えてしまわない授業への転換〜」『現代教育科学』明治図書 1996年11月号、65-68
- 鈴木克明・市川尚「インターネットの基礎を教える試み〜タレ流し講義からの脱却を目指して」『IMETS(メディアと授業の改善)』126号 才能開発教育研究財団 1997年、72 - 76
- 鈴木克明「学校教育改革運動としてのメディア教育—放送教育とコンピュータ教育を例に—」日本教育方法学会(編)『教育方法研究24 戦後教育方法研究を問い直す—日本教育方法学会30年の成果と課題—』明治図書、1995年、201 - 209
- 鈴木克明「教育機器の効果的な活用」『個性が育つ教育方法読本(教職研修総合特集117)』 教育開発研究所 1994年、219-222
- 鈴木克明『放送利用からの授業デザイナー入門—若い先生へのメッセージ—』(放送教育叢書23)日本放送教育協会 1995年(定価1,900円)