鈴木克明((1995)「第6章第2節 中学校における教育研究の事例」
水越敏行・永岡順編『学校の教育研究(新学校教育全集第28巻)』ぎょうせい p.182より
教育研究の事例(中学校、第6章2節より)
1、川越研究
- 開発研究:共有を念頭においた研究計画
- パッケージ化:自作教材+指導案+テスト類
- ニーズ分析:地域の理科教員アンケート(教材の利用者)
- 使える教材:安価、簡便、導入済機種で使用可、移植性
- 検証授業:授業者との学習指導案共同作成(独りよがりでない)
- 効果測定:新奇効果を超えた学習成果を確認
- コスト効果:使ってもらってこそ努力が報われる(共有財産)
開発研究における2つの問い
- これから開発する教材は、何を教えるための教材か。教材の効果は実践授業においてどのような手段で確かめることができるのか。教材の評価手段は用意したのか。
- これから開発する教材は、自分だけでなく他の教師にも使ってもらえるものか。教材開発に要する自分の時間は、教材の繰り返し使用や共有によって採算がとれるか。共有するためにどんな方策をとったか。
2、酒井研究
- 授業研究:学習意欲を高める指導の工夫と評価方法の提案
- 理論との橋渡し:ケラーのARCS動機づけモデルを採用
違う単元・教科・学年に応用できる研究成果
理論的な枠組みが使い物になるかどうかを授業場面で検証
- アンケート自作:実態把握のための手だて
- 事前事後の変容:情意面の変化を量的に捉える工夫
バイアスがかかっていても変化は捉えられる
- 授業記録:教授・学習過程分析と理論的検討
変容の原因を究明する糸口として
3、館山二中研究
- カリキュラム開発・運用研究:選択教科運営を長期的に支える方法の確立
- 子どもの自己選択・自己決定の保証:選択教科の趣旨徹底
希望調査と相談活動による調整過程
- 学習の手引き:全解説講座共通の枠組み
子どもによる目標設定と学習計画立案を重視:主体的学習
子どもによる学習記録と自己評価を促進:自己を見つめる契機
保護者への理解・啓蒙:「新しい学校」へのサポート
多様性の追及における揃えるものの見極め・意思統一
- 運営の効率化:日常的、継続的作業
重要な事項への時間の集中配分と省力化
講座選択のプロセスの重視
子どもが自分で進めることの重視
次年度に生かすためのフィードバック体制の確立
学習の手引きの改善と繰り返し利用
