(財)日本放送教育協会(2002)「2005年度を目標に『教育の情報化』に対応した放送番組とデジタルコンテンツの企画案と番組編成についての調査と提言」(NHK教育番組部委託研究)報告書(分担執筆:第1章第2節「調査の方法」・第2章「調査結果」

第1章第2節「調査の方法」



1.2.1.調査項目の作成


 調査項目は、放送番組利用の現状を把握し、利用者が抱えている問題点や意見・要望をできるだけ記述的に収集することを念頭に作成した。番組利用の現状を把握するための全体的な質問項目38のうち記述式の項目が7項目、番組ごとのコメントを求める項目が25番組に対してそれぞれ18項目(うち1項目ずつが記述式)で合計450項目、番組連動のホームページの利用状況についての項目が22項目(うち1項目が記述式)、ホームページで提供する情報について教科ごとにウェイト付けする項目が11教科に対してそれぞれ11項目(合計121項目)と記述式の1項目あった。回答者にかなり負担のかかる調査であった。全調査項目を資料1−1に示す。


1.2.2.調査期間

 本調査の調査期間は、2002年1月7日から1月26日であった。


1.2.3.調査対象者

 本調査は、日頃から教育放送などを積極的に活用し、教育メディアを活用した実践に今後とも積極的にかかわっていくことが期待されている現職教員(主として小学校教員)を対象に行った。調査への回答はボランティアベースで依頼した。NHKの今後の施策に直接的に役立つことを強調した一方で、回答者リストを明記した報告書を1冊寄贈すること以外には、回答に伴う報酬はなかった。合計142名からの回答(すべて有効回答)があった。具体的には、次の各研究プロジェクトで用いているメーリングリストの参加者が調査対象者となった。

上記の番組別プロジェクト参加校は資料1−2に示したとおりである。実際に番組とホームページを活用して年間で授業をしてもらっている学校である。プロジェクトそれぞれで、年間2〜3回ほど会議のためにメンバーが集まって、番組の制作者、研究者と情報交換をしている。もっとも学校放送のデジタル化について情報を持っている先生方であった。

このプロジェクトは、全国から9人の先生が参加して、WEB上で研修を展開しているものである。すでに2回ほど東京に集まって、木原・堀田両委員の指導を受けた。参加者は、全放連の若手教員と、木原・堀田両委員の推薦を受けた教員であり、最近の学校放送やデジタル教材には興味を持っている。

「学校放送番組デジタル化対応プロジェクト」として、番組と連動したホームページや動画データベースをどう活用するかを研究している部会。昨年度から始まり、今年度は、毎月1回集まって、先生方が交代で実践報告をしている。それを木原委員が指導助言をしている。メーリングリスト上の会員は小学校と中学校の教員が30人ほどいるが、実際に活動に関わっているのは15人程度である。 ***ここに、永野、堀田、木原の各委員が投稿したメーリングリストの説明を追加する (事務局へ:永野、堀田、木原の各先生からの原稿をここにはさんでください;原稿依頼済み) 上記それぞれのメーリングリストに投稿し、回答を呼びかけた。また、そこからさらにそれぞれの知り合いの先生に回答してもらうように依頼した。広島、鳥取、大阪の放送教育・情報教育のメーリングリストに流してもらったことを確認した。


1.2.4.回答者の属性【質問項目1-1】

 本調査の対象者142名のうち、小学校の勤務する教員は126名で、回答者全体の88.7%を占めていた。その他の回答者の勤務先は、中学校(7名)、高等学校(3名)、教育センターなど(6名)であった。回答者の性別は、男性102人(71.8%)に対し、女性40人(28.2%)であった。平成14年度の『文部科学統計要覧』によれば、全国の小学校に本務する教員に占める女性の割合は62.5%であり、本調査の回答者の性別は小学校教員の全体像からはかなり男性に偏っていることがわかる。

  図表1−1に回答者の担当学年(男女別)を示す。図表中の7学年表示には、TTや管理職、教科専任者、ならびに中学高校教員や教育センター勤務など、1〜6学年担当者以外のすべての回答者がまとめてある。この図表からも明らかなように、担当学年を持っている回答者の中では、高学年を担当する教員が多数含まれていた。


図表1−1 回答者の担当学年(男女別)


 図表1−2に、回答者の教職年数(男女別)を示す。回答者の教職経験年数は1〜30年までと幅広く、平均教職年数は15.8年(SD=6.36)であった。男女による経験年数の差は認められなかった。


図表1−2 回答者の教職年数(男女別)



1.2.5.Webと電子メールを組み合わせたアンケート回収システムの構築

 アンケートを電子的に依頼し、回収するためのシステムを構築した。図表1−3に、アンケートの依頼と回収の流れを示す。

アンケート項目の検討と項目作成

メーリングリスト投稿によるアンケート依頼

Webサイトでのアンケート回答と送信

電子メールでの自動提出確認とお礼

単純集計結果表示用Webサイトでの経過・結果の共有(非公開)

データ分析と考察

図表1−3 アンケート依頼と回収の流れ



メーリングリストに投稿した依頼文(資料1−3を参照)には、アンケート回答のためのWebサイトのURLを示し、メールを読んだ時点でアンケート回答用Webサイトをクリック1回で表示できるようにした。

アンケート回答用のWebサイト(資料1−4を参照)は、5部構成とし、各部においてはJavascriptを用いて回答に必要な項目のみを動的に表示する機能(Netscape ver.6.0及びInternet Explorer ver. 4.0以降のみに対応)を設置した(たとえば、今年度に番組を利用したかどうかの回答によって、「利用した人のみ」が回答する項目または「利用しなかった人のみ」が回答する項目のみを表示したり、利用した番組についてのみ詳細の回答を求める項目を表示するなど)。動的表示機能を使えないブラウザの利用者には、すべてのアンケート項目を一度に表示する長尺型のフォームを準備した。操作性が極めて悪く、回答負担への影響が心配されたが、長尺型フォームを使った回答者は、全回答者142名のうちの4名(2.8%)のみであった。

Webサイトは岩手県立大学ソフトウェア情報学部鈴木研究室のサーバー上から提供した。電話回線による接続者の便宜を図って、アクセスと同時にすべての情報をダウンロードする仕様とし、「送信」操作までは回線切断状態で回答できるようにした。「送信」操作により、CGIによって回答結果がサーバーに送信され、サーバーからは自動的に着信通知メール(資料1−5を参照)を送信者メールアドレス宛に送る仕様とした。また、回答結果は、単純集計結果表示用のWebサイトに逐次更新・表示されるようにし(非公開)、委員相互で情報を共有した(資料1−6を参照)。
第2章「調査結果」