1999.1.25-28. マルチメディア教材開発養成講座(文部省生涯学習局)テキスト原稿「マルチメディア教材開発の実際」東北学院大学教授 鈴木克明

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2. マルチメディア教材開発の促進

    〜よりよい教材の開発・提供を目指して〜


        2-1.はじめに:開発の労力のもとをどうとるか
        2-2.マルチメディア教材のユーザビリティ・チェック
        2-3.マルチメディア教材の教授デザイン・チェック
        2-4.マルチメディア教材の共有化を促進する
        2-5.マルチメディア教材開発講座の持ち方
        2-6.おわりに:学習・研修方法を見直すきっかけに

  参考文献



2-1.はじめに:開発の労力のもとをどうとるか


 手間暇かけて,愛情を注いで,貴重なデータを使って,丹精込めて開発したマルチメディア教材が完成した。このマルチメディア教材が幸せになるためには(そして,開発者も幸せを感じるためには),この教材を今後,どう扱ったらいいのだろうか。棚にしまって大切に保管するか,それともボロボロになるまで活用するか。管理者の発想は前者であったとしても,開発に携わった者ならば,誰しもが後者を選択するだろう。「この教材にも日の目を見せてあげたい」という思いは,「どうやったらより多くの人に活用してもらえるか」という問いを生む。そこから,マルチメディア教材の開発と提供が促進されることになる。ここでは,「時間をかけて作ったものは利用者を多くすることでそのもとをとる」という立場から,マルチメディア教材開発の促進のノウハウについて述べる。

 「時間をかけて作ったものは利用者を多くすることでそのもとをとる」という発想を,コスト・パフォーマンス(対費用効果)の視点と言う。ここでコストとは,金銭面の費用だけでなく,時間,労力,専門性,思い入れなど,開発に投入されたあらゆるものを指す。対費用効果を高める手段は,いくつか存在する。少なくとも,コストをかけない,効果を高める,単位当たりのコストを下げる,の3つがある。

 第一に,コストをかけないで教材を開発すること。開発の経験があまりない段階では,無駄も多く,それだけコストがかかってしまう。開発のノウハウをためることによって,第1作よりは第2作の方が,低コストで開発できるようになることを目指す。第二に,同じコストをかけるならば,より効果が高まるような優れた教材にすること。これまでに蓄積されてきた「使いやすい教材」,「効果的な教材」,あるいは「魅力的な教材」にするためのノウハウを活用することで,教材の質を高める工夫をこらす。第三に,より多くの人に使ってもらうことで,単位当たりのコストを下げること。たとえば1000万円の開発費をかけても,100箇所で10回使えば,1回当たりの費用は1万円という計算になる。コストをかけて優れた教材を開発し,それをできるだけ広く共有する姿勢を持つことは重要である。とかくオリジナリティの追究に力点が置かれる教育現場であるからこそ,他の人に使ってもらえるものを開発するための工夫が求められている。

 筆者は,授業・教材設計モデルを米国に学び(鈴木,1989;1995b),現在大学の教員養成課程において,教材開発の基礎を「独学を支援するプリント教材の自作」を通して教えている(鈴木,1996;鈴木ら,1997)。教材づくりの手順には,どのメディアを使うときにも通じる基本があり,それはシステム的な手続きと言われている。教材開発の基礎を,最も手軽なプリント教材で体験させる演習的な要素を含んだ講義を実践している(鈴木,1994)。次の節からは,より質の高い教材を作り,多くの人に使ってもらうことで開発コストを抑えるためのノウハウを,これまでの研究から紹介していく。最後に,マルチメディア教材開発についての講座の持ち方についてのノウハウに触れ,マルチメディア時代の学びにふさわしい研修の在り方を提言したい。



2-2.マルチメディア教材のユーザビリティ・チェック
    〜不快感がなく使いやすい教材にする〜


 教材の質を左右するものの一つに,その教材が「使いやすいかどうか」という問題がある。これを教材のユーザビリティ(Usability)と言う。ユーザビリティ研究は,主としてコンピュータのソフトウェア自体を開発するときに,そのソフトウェアを使う人への配慮としてノウハウを蓄積してきた。ユーザーインタフェースの研究ともいわれる分野である。画面を見やすくしたり,機能を使いやすくしたり,あるいは,分からないことを調べるためのヘルプ機能やマニュアルを整備したりするときに役立つものである。

 マルチメディア教材を開発する場合は,既存のソフトウェアを用いて,そのソフトウェアで作動する教材(コースウェアと呼び区別される)を作っていく訳であるが,教材を使いやすいものにするためにも,ユーザビリティ研究の成果を役立てることができる。教材が親しみやすくなっているかどうか,教材を使って何ができるのかがわかるか,どうやって使うかが明らかか,困ったら手助けがあるか,などは,教材を使いやすいものにするための共通課題である。

 ユーザビリティ研究の第一人者であるニールセン(Nielsen, 1993)によれば,ユーザビリティには,5つの側面がある。
  1. 学習しやすさ:何ができるかがすぐわかり,使い方を学ぶ時間をあまりかけずに,すぐに活用できるかどうか。
  2. 効率のよさ:使い方を身につけたら,効率よく仕事ができるかどうか。
  3. 覚えやすさ:たまにしか使わない場合でも,使い方をすぐに思い出せるかどうか。
  4. 間違えにくさ:使っている途中にエラーを起こさずにすむかどうか,また起こしたエラーを回復できるかどうか。
  5. 満足感:心地よく使えるかどうか。いやがらずに使え,好きになれるかどうか。

     コンピュータのソフトウェアを使うときに,使い方がわからなくて困った経験は誰にでもある。余りにも多くの「機能」が用意されているので,どれをいつ使ったらいいか迷うことも多い。ソフトウェアの使い方の勉強に相当な時間を費やすために,そのソフトウェアを使って仕事がはかどるようになったかどうかまで頭が回らない,という落とし穴も待ち受けている。ユーザビリティを高める工夫をすることは,利用者への心づかいである。教材を使うことには何の抵抗感もなく,すぐ自分の学びたいことに集中できるようなものにすることができるよう,ユーザビリティ研究の成果をいくつか紹介する。

     表2は,ユーザビリティ研究に基づいてプリント教材の構成要素を洗い出し,表現要素の何が変えられるかをまとめたものである(鈴木,1994)。プリント教材のノウハウの多くが,マルチメディア教材の画面デザインにもあてはまる。さらにマルチメディア教材の場合は,これらの他に,リンクの張り方や画面移動の視角効果,あるいは音声情報の用い方などにも配慮が必要である。村瀬(1998)を参考にまとめると,次のようになる。
    1. リンクの張り方
      • リンクのためにクリックする箇所は,目立たせる。
      • ボタンに用いるアイコンの意味(効果)と配置を統一する。
      • 画面移動の視角効果は,展開のパターンごとに統一する。
    2. 音声情報の用い方
      • 画面移動等に付随する効果音は,必要かどうかよく吟味して用いる。
      • 効果音のつけ方で内容に対する印象が異なることがあるので,注意して選ぶ。
      • BGMに流行の楽曲を用いる場合,著作権にも留意する。

    ▼表2 プリント教材の構成要素:何が変えられるか?

    <文字情報>
    書体(フォント)  明朝体、ゴシック体、丸文字、相撲文字など
    大きさ       9ポイント、10ポイント、12、14、18ポイント
    強調文字      書体の変更、ボールド、イタリック、下線、袋文字など
    文字間       文字の大きさに対して75%空けるのが標準
    字詰め(一行の文字数) 横書きで35文字、縦書きで45文字が標準
    漢字の混合率    通常30%が標準
    漢字の学年配当表  対象年令に応じて参照する
    文の長さ      30文字以上の文は注意
    文の構造      単文複文、否定形、受け身形など
    表現の難易度    指示語、言い換え、接続詞など
    段落構成      段落の長短、段落開始は1文字インデントか行あけか
    <イメージ情報>
    図表        情報の構造化、数値の視覚化などに用いる
    グラフ       変化には折れ線グラフ、比較には棒グラフが一般的
    写真とイラスト   現実感と省略化(部分の強調)、キャプションのつけ方
    <レイアウト>
    版面率       紙の大きさに対して文字がかかれている部分約60%が標準
    余白率       版面に対する実際に文字や絵で利用されている部分の割合
    文字情報の段組   目の運動を左右する
    イメージ情報の位置 文字に対する比率と関係、配置

    出典:鈴木克明(1994a)「やる気を育てるプリント教材はここが違う(解説)」
       『NEW教育とマイコン』1994年8月号,学習研究社,p. 45より
         

     表3に,ニールセンが1996年にまとめた,WWWホームページのデザイン上の問題点を紹介する。ホームページは,近年,個人の趣味の範囲にとどまらず,企業や教育機関の宣伝媒体,あるいは顧客との情報のやり取りの手段として,さらに,遠隔教育などの中心メディアとしての活用されている。さまざまな技術が提案され,試みられているが,新しいものは不安定であり,情報伝達の環境も十分に整っているとは言えない。利用者に配慮したデザインが必要であるとニールセンは主張し,ホームページ上に公開している隔週のコラムで「避けたいウェブ・デザインの誤り上位10箇条」を取り上げた。


    ▼表3 避けたいウェブ・デザインの誤り上位10箇条(ニールセンによる;要約)

    1. フレームの使用
     フレームでページを分割することは,ウェブページの基本的なユーザモデルを壊すので,ユーザをとても混乱させる。ブックマーク,URL,印刷が難しくなり,ユーザが次に何がおきるか予想できなくなる。
    2. 必要のない最新技術の使用
     最新のウェブ技術を使っていることを自慢することで,あなたのサイトへユーザを引き付けようとしてはいけない。新しい技術の利用方法についてのノウハウが蓄積されるまでは,待つ方がよい。
    3. スクロールするテキスト(マ—キー)や絶えず動いているアニメーション
     絶え間なく動く要素を決して含めるな。ユーザがウェブページの文章を読めるように,平和と静寂を与えなさい。もちろん,<BLINK>は,まったくの悪である。
    4. 複雑なURL
     ファイル名やディレクトリ名は人間が読めるものにし,情報空間の構造を自然に反映するようにすべきである。極力短い名前を使い,すべて小文字にし,特別な文字を避け,入力ミスのリスクを最小限にせよ。
    5. 孤立したページ
     すべてのページに,そのページが属するウェブサイト名を明記し,トップページへのリンクをもたせ,あなたの情報空間のどこに組み込まれているページかがわかるような工夫をすべきだ。
    6. 長々とスクロールするページ
     10%のユーザだけが,スクロールする。重要な情報とナビゲーションのオプションはすべて,ページの上部に置くべきだ。
    7.ナビゲーションサポートの欠如
     サイト構造と現在地が実感できるようにサポートする必要がある。すぐれた検索機能は必須である。
    8. 標準でないリンク色
     ユーザが見ていないページへのリンクは青であり,以前に見たリンクは紫か赤である。ほとんどのウェブブラウザに標準な,少ないナビゲーション援助のひとつであるので,この色をだいなしにしてはならない。
    9. 古いままの情報
     多くの古い情報を適切な形に保ち,新しいページへリンクするなどの保守作業を行えば,ウェブサイトの内容が安価で,格段に充実する。設定した期限がきれたら削除する方がよい内容のページもある。
    10. 過度に長いダウンロード時間
     ユーザが興味を失うまでの応答時間の最大は10秒である。顧客の多くが夜に家のコンピュータからアクセスしていることを考慮せよ。

    From: Jakob Nielsen's Alertbox for May 1996: Top Ten Mistakes in Web Design, URL: http://www.useit.com/alertbox/9605.html
    (Japanese Translation by H. Ichikawa & K. Suzuki, 1998)(日本語訳 市川尚・鈴木克明)

     この他にも,ホームページについてのデザインガイドラインが多数提案されているが(市川・鈴木,1998),代表的なものにWWWコンソーシアムの公式ガイドラインがある(Style Guide for online hypertext;http://www.w3.org/Provider/Style/;神崎正英氏による日本語訳はhttp://www.kanzaki.com/docs/Style/)。

     さて,ユーザビリティを高めるために考慮すべき点をいくつか紹介した。これらをマルチメディア教材の開発に役立てる方法には,(1)ガイドライン項目を用いた教材の点検,(2)教材利用者による試用と意見の聴取,(3)作業課題を設定したユーザビリティ・テストなどがある。

    (1)ガイドライン項目を用いた教材の点検では,上記の点検項目を開発した(あるいは開発中の)教材にあてはめて評価し,ユーザビリティの程度を予想する。この作業は,教材の全体構成図と画面デザインなどができ上がった段階で行うのが最も効果的である。画面をいくつかコンピュータ上につくってみてから,もう一度見直すのもよい。

    (2)教材利用者による試用と意見の聴取では,見やすさやわかりやすさ,使いやすさなどについての質問項目を用意し,開発者以外に教材を試してもらい,感想やコメントをもらう。同僚などに「教材利用者になったつもりで」試してもらうのもよい。この作業は,教材のプロトタイプに対して行い,残りの画面はコメントを反映した形で用意していく。

    (3)作業課題を設定したユーザビリティ・テストとは,「○○という言葉がわからないときは,どうしたらよいか,やってみてください」とか,「○○についての情報を探してみてください」といった,教材を使うときに起こりそうな作業を想定し,実際に試みてもらう方法である。図3は,わかりやすさの度合を確かめるユーザビリティ・テストの一例である。ユーザビリティ・テストについては,様々な方法が確立されており,たとえば,菊地・山岡(1996)やシュナイダーマン(1993)などに詳しく紹介されている。


    ユーザビリティ・テスト
    ▲図3 わかりやすさの度合を確かめるユーザビリティ・テストの一例
        出典:菊地・山岡(1996)p.135より



    2-3.マルチメディア教材の教授デザイン・チェック


     教授デザイン(instructional design)とは,教材の魅力と効果を高めるためのノウハウを応用して,教材をよりよいものにすることを言う。つまり,よくデザインされた教材は,学びやすく,学びたくなる教材になる。教授デザインは,授業設計,教材設計,ISDとも呼ばれる研究分野で,教育工学の一領域である(鈴木,1989;1995b)。

     ユーザビリティをチェックして,教材が使いやすいものになったとしても,そのことで学びやすい教材ができるとは必ずしも限らない。使い方は簡単で,不快感を伴わないで使えたとしても,知りたい情報が得られなかったり,また,身につけたいと思った知識や技能が学べなかったりすることは,ありがちなことである。

     マルチメディア教材の特性の一つに,双方向性(インタラクティブであること;interactivity)があると言われている。一方で,情報をただ提供するだけに終始しているカタログ的な教材も少なくない。見たい情報を利用者が選択できることは,確かに双方向性の一側面ではあるが,情報の流れは,教材から利用者への一方向的である。たとえば,クイズを出題して利用者の理解度を確認したり,正解でない場合は補足的な説明を試みたりすることで,利用者からの情報(フィードバック)を活用した展開を工夫したいものである。

     何か新しい事柄を人が学ぶプロセスを支援するためには,どのような働きかけが可能かについては,心理学の研究知見が参考になる。認知心理学の研究知見に基づいて,授業や教材の組み立て方を提案したものに,ガニェの9教授事象の枠組みがある。表4に,小学生に長方形の面積の求め方を教える場合を例にして,どのような教材の組み立てが可能かをガニェの9教授事象にしたがってまとめたものを示す。

     ガニェによれば,導入の役割は,学ぶ事柄に注意を引くこと,何を学ぶための教材かを明らかにすること,そして,この教材を始める前に知っておいてほしい基礎事項を確認すること,の3つがある。情報の提示は,理解するためのヒント(ガイダンス)とともに行う。提示した情報を身につけるための練習の機会を与え,誤解を改め,正解を誉めてあげるフィードバックも忘れてはならない。実力がついたかどうかを確かめるテストを準備することや,忘れた頃に復習ができる機能も,学びのプロセスを支援する重要な機能である。詳しくは,鈴木(1995b)などを参照されたい。

     教授デザインの研究では,教材の効果を高める枠組みの他に,教材の魅力を高める枠組みも提案されている。「学ぶ気になってもらうには,教材をどう作ればいいか」という疑問に答えようとする試みである。動機づけとか学習意欲についての工夫は,主として「導入部分」での工夫と考えられがちであるが,それだけに留まらない。身を乗り出させて(やる気にさせておいて),あとが続かなくては困るからである。教材の魅力は,単におもしろさの側面だけではない。学ぶ意義を伝え,利用者に学び手としての自信をつけさせ,学ぼうとした努力が酬われたと実感させる。そんな工夫の枠組みとして有用なのが,ケラーのARCSモデルである。

     ARCSモデルは,動機づけの問題を大きく4つに分類して工夫することを提案するもので(図4参照),それぞれに下位カテゴリーや様々な分野での作戦例が用意されている(Keller & Suzuki, 1988;鈴木,1995a)。表5に,ARCSモデルの4つの分類とそれぞれの下位カテゴリを示す。


    ARCSモデルの4要因
    ▲図4.ARCSモデルの4要因


    ▼表5 ARCSモデルの下位カテゴリ
    -----------------------------------
    注意(Attention):おもしろそうか?
    A-1:知覚的喚起:目をパッチリ開けさせる
    A-2:探求心の喚起:好奇心を大切にする
    A-3:変化性:マンネリを避ける

    関連性(Relevance):やりがいがありそうか?
    R-1:親しみやすさ:自分の味付けにさせる
    R-2:目的指向性:意味のある目標に向かわせる
    R-3:動機との一致:プロセスを楽しませる

    自信(Confidence):やればできそうか?
    C-1:学習要求:目指すゴールを明確に示す
    C-2:成功の機会:一歩ずつ確かめて進ませる
    C-3:コントロールの個人化:自分で工夫させる

    満足感(Satisfaction):やってよかったと思えるか?
    S-1:自然な結果:学んだことを使う機会を与える
    S-2:肯定的な結果:学習成果をほめて認める
    S-3:公平さ:裏切らない,えこひいきしない
    -----------------------------------


    ▼表6 マルチメディア教材の魅力度チェック(参考:Keller & Suzuki,1988)
    ----------------------------------------------------
    1.タイトル画面(事象1)
    ア.学習者の注意をひく画面か?(A-1)
    イ.コースウェアの内容に関連しているか?(A-2)
    ウ.長いアニメーションなどを強要していないか?(A-1)
    2.導入部分(事象2,3)
    ア.「私が使うためのもの」と感じられるか?(R-1)
    イ.目標が具体的な言葉で書かれ理解が容易か?(R-2;C-1)
    ウ.学習目標の有用性や意義が述べられているか?(R-2)
    エ.学習者が有資格者かどうかを自己判断できる材料があるか?(C-1)
    オ.前提技能の復習オプションがあるか?(C-1)
    3.メニュー構造
    ア.メニュー画面があり,学習者が選択可能か?(C-3)
    イ.教材の全体構造や学習完了に対する進み具合が学習者にわかるか?(C-1)
    ウ.短い部分に分割されており,飽きないか?(A-3)
    エ.終了したメニュー項目に印がつくか?(S-2)
    オ.学習課題の構造や難易度に適合した学習者制御か?(C-2)
    カ.選択可能事項には学習者の要求でアドバイスが与えられるか?(R-3)
    キ.メニュー画面には学習開始直後にアクセスできるか?(C-3)
    4.情報提示と学習ガイダンス部分(事象4,5)
    ア.一方的な情報提示が続いていないか?(A-2)
    イ.学習者を引き込むような質問が織り込まれているか?(A-2)
    ウ.易しいものから難しいものへと順序だてられているか?(C-1)
    エ.自分の学習状況を確認しながら学習を進められるか?(C-2)
    オ.こまやかなガイダンスで弱点を早期発見できるか?(C-2)
    カ.身近な例やイラストなどで具体性を高めているか?(R-1)
    5.練習とフィードバック部分(事象6,7)
    ア.誤りを犯せる状況(リスクフリー)で練習する機会があるか?(C-2)
    イ.誤答には,なぜ誤りかを示す情報付加的なフィードバックがあるか?(C-2)
    ウ.正解には,褒め言葉などの情意的なフィードバックが適切か?(S-2)
    エ.誤答に対して,否定的・批判的なコメントがないか?(S-2)
    オ.誤答へのフィードバックが興味本位で見たいと思うものでないか?(A-1)
    カ.やり直しのチャンスが与えられているか?(C-2)
    キ.練習の条件を学習者が自分で変更・設定可能か?(C-3)
    ク.ゲーム的要素などのチャレンジ精神をくすぐるものがあるか?(R-2)
    ケ.挑戦を好まない学習者のために,競争への参加は任意か?(R-3)
    6.評価と終了部分(事象8,9)
    ア.一貫した評価基準が維持されているか?(S-3)
    イ.合格基準や制限時間などがあらかじめ提示されていたか?(S-3)
    ウ.達成時には,成功を努力に起因する様なコメントがあるか?(C-3)
    エ.達成された課題をより大きな課題の中に位置づけているか?(R-2)
    オ.新しく学んだ知識・技能をすぐ用いる場面が用意されているか?(S-1)
    ----------------------------------------------------------
    ※注:括弧付きの記号(S-1)などは,ARCSモデルの下位カテゴリを示す


     表6は,ガニェの9教授事象の枠組みにしたがってマルチメディア教材の構成を考えた場合に,魅力ある教材をつくるためにはどんな点に注意したらよいのかをまとめたチェックリストである。教材の構成や用途などによって,必ずしもすべての項目があてはまるとは言えないので,該当する項目かどうかを判断しながら活用していただきたい。



    2-4.マルチメディア教材の利活用を促進する


     教材のユーザビリティ・チェックと教授デザイン・チェックで,使いやすく学びたくなるようなマルチメディア教材が開発できたとして,残る課題は,開発した良質な教材をいかに利活用してもらうかである。マルチメディア教材は,多くの素材が複雑に絡み合う構造になっているため,使い方が一通りではないという特徴がある。つまり,たとえ良質な教材が開発できたとしても,教材の持ち味を十分に発揮できるか,それとも有効に活用することができずに時間ばかり浪費しまうか,使い方次第で,結果は様々になる。マルチメディア教材を使っているときに自分の現在地を見失ってしまう「迷子(disorientation)の問題」が起こりうることが指摘されている(村瀬,1998)。マルチメディア教材の利活用においても,教材の使い方について迷子にならないように,支援する必要がある。

    2-4-1.教材利用ガイドの整備

     教材利用ガイドの整備とは,開発したマルチメディア教材を使う人に向けての手引き(ガイド)を教材に添付することを指す。手引きの内容としては,教材開発の意図や教材の概要,利用方法や利用上の留意点,あるいは,もっと詳しく知りたい人への道案内(参考文献や関連情報)などが考えられる。教材が子ども向けであれば,子ども向けのガイドとともに,教師あるいは保護者向けの手引きも用意することができる。手引きの内容は,マルチメディア教材自体の中に含めると同時に,教材を使用する前に目を通すパンフレットなどの形で添付するとよい。

     操作方法の説明は,最低限必要な事項にとどめるように努力し,いわゆる「操作説明書」を読まなくても画面を見るだけでどう使うかがわかるデザインを考えたい。あくまでも,利用ガイドとは,この教材を使うためには「どう」すればよいかについてではなく,この教材を使って「何を」ができるかについての手引きとしたい。

    2-4-2.活用事例の収集と共有化

     活用事例の収集は,開発したマルチメディア教材をどのように使って,どのような成果を上げた例があるかについての利用実態を調査し,それを他の利用者のための参考に供する目的で行う。この教材を使った人が何を達成したのか,また,どのように応用・発展させたのか。いわゆる「利用者の声」を収集し,開発したマルチメディア教材の利用の実績を内外に伝えるとともに,今後の開発の参考資料とすることができる。

     活用事例を収集し,それを共有化することを,マルチメディア開発の当初から,開発プロセスの一環として組み込むことが可能である。教材のプロトタイプ,あるいはβ版ができた段階で,教材を試してもらう人を募って意見を聞くとすれば,そこで活用のアイディアについても述べてもらい,「(仮想的な)利用者の声」として参考にする。利用の手引きをつくるときには,そこから収集された活用のアイディアを盛り込むとよい。さらに,教材が完成し,配布するときには,「この教材でどのような学習を展開したか,今後の開発の参考のために利用者アンケートにお答えください。」などとしたフィードバック用のはがきや,電子メールの宛先を明記しておくとよい。また,ホームページを使った事例収集システムをあわせて構築しておくと,利用者相互のコミュニケーションを促進することもできる。

    2-4-3.流通手段と保守・更新体制の確保

     マルチメディア教材に限らず,莫大なコストを費やして開発した教材の存在が広く知られていないというケースは少なくない。教材の完成を通知し,利用したい人の手に教材を届ける手段が欠けていると,利活用は促進されない。また,せっかく開発した教材が,数年もたたないうちに(最悪のケースだと次の年度には)継続して使われることなくお蔵入りになってしまうケースもある。「情報はナマモノ」という言葉が示すとおり,教材の内容が陳腐化してしまう速度は,これまでになく速い。ニールセンも指摘しているように(表3の項目9参照),長期間の利用を可能にするための保守・更新体制が計画されていれば,当初の開発コストに比べればかなり安価に,教材の寿命を長持ちさせることができる。

     マルチメディア教材の開発に着手したら,開発の当初から,完成した暁にはどのような手段でこの教材の存在を潜在的利用者に知ってもらうかを計画するとよい。たとえば,潜在的利用者のオピニオン・リーダー的存在の人に「開発協力者」という立場で,完成前から関わってもらうという方策をとることができる。教材を使ってもらう人の意見を少しでも取り入れた形にしていくことによっても,利用率を引き上げることに寄与できるし,宣伝マンになってもらう効果も期待できる。また,ホームページを公開しているのであれば,「現在開発中の教材コーナー」を設け,β版を使って意見を寄せてもらう「教材モニター」を募集することもできよう。新しいものをいかに普及させるかについては,イノベーション研究(普及学)が扱う領域であるが,開発途中から関与者を増やすことが普及を促進するという知見を活かした計画を用意しておきたい。

     教材の存在は知っているけれど,入手が容易でない。あるいは,試すことができないので購入すべきかどうかの判断がつかない。マルチメディア教材の場合,よく問題になることである。自治体などで自作する場合には,無償配布もしくは複製費用を実費徴収する程度のケースが多いと思われる。利用条件などを明らかにし,著作権処理を確実に行っておき,ホームページからのダウンロードなどのオプションを設けると,入手しやすくなる。不特定多数への公開が無理な場合には,ホームページによる教材の情報提供とCD-ROM版教材の申込受付・配送などを組み合わせた教材流通システムを計画しておくとよい。

     保守・更新作業の計画についても,開発当初からの見積が必要である。年度単位の事業が基本となる場合でも,マルチメディア教材の構想から開発,モニターテストと改善を年度内にすべて終了させることは難しい。たとえば,仙台市教育委員会の教材開発プロジェクトでは,3年サイクルの開発過程を基本とし,1年目に構想と開発,2年目に試用と改良,3年目に公開と普及の3段階に分けて,単年度処理を3回行ってきた。開発の予算全体の中から,過年度開発教材の更新や普及のための量産の費用に少しずつ回しながら,当該年度分の教材を開発してきた。よりよいものをじっくり時間をかけながら開発し,広く長く使える教材を一つでも多く,世に送り出したいものである。

    2-4-4.開発ノウハウの蓄積

     マルチメディア教材の利活用を促進する最後のポイントは,開発にあたる組織に,開発ノウハウを蓄積することである。パソコンや周辺機器の日進月歩の発展やソフトウェアの度重なるバージョンアップにともなって,開発環境を維持していくことだけでも,相当の労力と「学び直し」が伴う。また,せっかくのノウハウを身につけた担当者が任を去り,新任の担当者がまた一から始めるために,機器やソフトウェアの使い方をマスターするまでに膨大なエネルギーが注ぎ込まれている例も少なくない。一つ目の教材開発よりも二つ目が効率的になるように,また一人目の担当者よりも二人目の方がより短期間に必要な技能を身につけられるように。開発ノウハウを蓄積することは,とても重要な課題である。

     開発ノウハウを蓄積するためには,まず,開発過程で遭遇した問題点についての解決法などを克明に記録にとどめることが有効である。多少時間が経過しても,また担当者が変わっても,同じ問題で2度悩むことはこれでなくなる。第二に,教材に用いる部品の定型化と再利用を促進することが挙げられる。定型的な画面デザインを「テンプレート(内容を抜き取ったぬけがら)」として保存したり,あるいは,教材の基本構造をそのまま活かして次の教材に生まれ変わらせる。同じものがいくつでも作れるというデジタルの世界の特徴を最大限に利用し,開発の効率を高めるよう工夫してみるとよい。

     第三に,開発行程そのものの定式化を図ることが挙げられる。マルチメディア開発では,まずどんなことを決めて,それをどのような書式にまとめるか。その情報を,たとえば,ホームページに公開すると同時に,教材利用手引きの原稿としても活用する。プロトタイプの評価は,どんな項目について行い,その結果はどう記録するか。定式化できることは多数あり,それを開発記録としてファイルし,次に伝えることによって,より短期間で,少ない労力で,開発するノウハウが蓄積する。定式化された開発行程についてのノウハウは,マルチメディア教材開発講座を主催するときにも,役立つものである。



    2-5.マルチメディア教材開発講座の持ち方


     本講座は,地方自治体におけるマルチメディア教育の指導者を養成するという目的をもつものである。したがって,受講生は,研修の成果として,自らが同様の講座を主催する立場にたてるようになることが期待されている。本稿の最後に,本講座の持ち方そのもののノウハウを伝授することを目指して,本講座における研修方法の意図するところについて述べておきたい。

     意図した事柄のうち,どの程度の部分が現実のものになっているかについては,研修当日の成果を待つことになる。意図が反映できた事項についてはそのノウハウを参考にし,反映できずに終わったものについては反面教師として改善方法を考えることによって,研修の持ち方についても多くを学んでいただきたいと思う。

    2-5-1.予習・持ち帰り作業の勧め

     本講座の中核となる実習では,教材開発の実際にできる限り多くの時間を確保するように努めた。そのための工夫として,受講生に2つの事前課題をお願いした(1:マルチメディア素材の事前準備と講座への持参;2:講座テキストの事前配布と教材構成図案の準備)。予習を課すことは,状況によっては,必ずしも適当でない場合もあろう。しかし,お仕着せの内容で教材開発を体験するよりは,受講生が自分の希望する内容について,自分に何らかの役にたつ教材を開発することを通して,教材開発の実際を体験してもらう方が効果的であることは確かだと思われる。本講座のように短期間に集中している場合は予習の形をとらざるを得ないが,何回かに渡って分散して行う研修の場合は,その間を利用して,素材を収集してもらうことなどの工夫もできる。

    2-5-2.講師主導から独学支援へ

     本講座では,取り上げる内容も受講生のニーズに合わせたが,実習の進め方も受講生のペースを重視した個別研修を基本とした。全体での一斉研修は,実習全体の流れを把握し,使用するソフトウェアで作成可能な教材のイメージを共有し,作業の共通目標を明らかにすることに止めた。個々の実習作業については,できる限り一斉指導は避け,受講生が個別に作業を進める中で遭遇する問題に,個別に対応する形をとった。この方法は,講師の数と受講生の数とのバランスによって,どの程度まで実現可能かが左右されるものである。しかし,たとえば,わかりやすいマニュアル類や作業手順の説明書などを事前に人数分を準備し,受講生がそれを見ながら実習を進めるなどの方法を工夫することが考えられる。研修の大半を,講師の号令にしたがって,一斉に同じキー操作をするという形は,できるだけ避けたい。受講生がその人のペースで,理解してから次に進める方式を採用したいものである。

    2-5-3.セットメニューからバイキング方式へ

     本講座では,採用したソフトウェアについて,受講生全員が学ぶ必修事項を最小限にとどめ,その他の機能は,必要に応じて学んで利用するという立場をとった。これまでの実技研修には,ソフトウェアの機能をできるだけ多く紹介することで,多彩な教材づくりのヒントにするという趣旨のものが多く見られた。本講座では,まずつくりたいものを構想することを先行させ,その教材をつくるために必要な機能をその場で学ぶという発想を重視した(本来であれば,本稿1-2-2で述べたように,その教材をつくるのに最も適しているソフトウェアを選定するという段階が必要となるが,本講座では,もっともふさわしいと考えられるソフトウェアを予め一つ選択しておいた)。

     その結果として,受講生それぞれが実際に利用する機能は,ばらつくことが予想され,採用されたソフトウェアの機能を「最大限に」活用した教材を全員が開発したとは言えない結果になることを覚悟した。つくりたい教材に「必要最低限の」機能を全員がそれぞれ選んで活用した,と言えることを目指した。とにかく一度教材を開発して,それを改良するためには他にどんな機能があるかは後で覚えればいい,というスタンスをとったことになる。「覚えることが多すぎて…」という事態だけは避けることを目指した。

    2-5-4.プログラミング段階以外の「開発行程」の重視

     ソフトウェアの機能を多く盛り込むことを重視しない一方で,教材開発の過程におけるプログラミング以外の作業を重視した。教材を構想し,全体の構成を考え,素材の再利用を図り,教材の出来具合を確かめて改良するプロセスに力点を置いた。これらの開発行程は,どんな教材を開発するときにも等しく応用可能なノウハウであり,研修で開発した経験を,次の教材開発に活かそうとするときに役立つものである。研修の成果として,「教材が一つ開発できた」,あるいは「このソフトウェアの使い方がわかった」ことと同時に,「次の開発にどう取り組んだらよいかがわかった」,あるいは「他のソフトウェアを使って開発する場合にも役立つことを学んだ」との成果を期待したのである。

    2-5-5.屋台村方式の作品相互鑑賞

     実習の最後には,実習の成果として完成した(あるいは開発途中の)作品を順番に発表していく時間をもつ場合が多い。しかし,開発したマルチメディア教材がもともとプレゼンテーション用のものである場合は別として,パソコン画面を自分で操作しながら作品を鑑賞しないと,大画面で見せてもらっただけでは,教材の真価(双方向性など)が伝わりにくいことも少なくない。本講座では,最後の成果発表を,β版の相互鑑賞と位置付け,お互いの作品の良さを指摘しあうと同時に,「どこをどう改善すればいいのか」のアイディアを出しあうことを重視した。個別作業を基本としながら,お互いの教材についての意見交換をすることで,研修を深めることを目指した。

     学会などでは,限られた時間の中で順番に口頭発表をしていく方式に加えて,発表者は予め研究内容をまとめたポスターを用意してその前に待機し,関心がある研究者同士が深く議論する時間を設けるポスターセッション方式と呼ばれるものがある。小学校などでも,調べ学習のまとめの段階で,順番に黒板の前に出て発表する方式とともに,近年では班ごとにコーナーを設けて展示し,他の班の展示を自由にまわってお互いに研究成果を披露しあう方式が試みられている。学校版のポスターセッション方式であり,「屋台村方式」とも呼ばれている。屋台村方式を採用することで,皆の前で緊張したプレゼンテーションをする練習の機会を失うことにはなるが,そのかわりに,それぞれの作品を相互に鑑賞し,建設的な意見交換が促進できればと期待している。



    2-6.おわりに:学習・研修方法を見直すきっかけに


     マルチメディア教材は,これからの時代の学びを支援するものである。また,そのノウハウを伝える研修を企画するということも,マルチメディア教材開発という題材で行う,これからの時代の学び(研修)を支援する営みである。教材の中味(教材に含まれている教え方)も,また研修のやり方そのものも,新しい時代にふさわしいものかどうか,注意深く点検し,準備する必要がある。

     これまでの研修の多くの時間は,講師からの情報を吸収するための座学に割かれてきた。職場に戻れば,受けた研修の内容を同僚に伝えるための「伝達講習」を実施し,研修で得た知識をより多くの教育関係者に広める努力をしてきた。この座学研修と伝達講習の研修スタイルは,古くからの教師主導による伝達型の授業と同じスタイルである。マルチメディア教材を使う学びが,教師主導による伝達型のこれまでの学びからの脱却を目指すのであれば,教材の教え方も研修のスタイルも同様に,変えていかなければならない。マルチメディアを媒介にする学びは,新しい時代の学びをイメージさせる最良の道具になるからである。

     表7に,コンピュータ関連の研修の在り方を提案するプロジェクト報告書(CEC,1998)に,筆者が,研修と授業とのつながりを整理した観点を示す。この報告書で提案している研修の進め方は,「この研修を受けることで,新しいことを学ぶとき(教師には研修,子どもには授業)には,こんなやり方もあるんだ,ということを体験して欲しい。」という意図に基づいている。研修を企画・実行する立場から本講座を客観的に眺めるために,また実際に研修を企画・実行する際にも,参考にしてもらいたい。なお,CECでは,このプロジェクトが続行しており,来年度末には次の報告書が刊行される予定である。


    ▼表7 研修の進め方と新しい授業とのつながり  
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    ◯おうむ返しの伝達講習と教師主導の情報伝達型授業
      ・座学研修とその伝達からの脱却=教科書を教える授業からの脱却
    ◯教師が動く研修と子どもが動く授業
      ・個別・マイペース研修と討議の時間の組み合わせで進める
    ◯講師に頼らない研修と教師に頼らない学習
      ・自分の力で,手引きプリントなどを頼りに主体的研修
      ・主体的研修のお膳立てができれば,主体的学習の環境整備もできる
    ◯講師を超える部分を要求する研修と子どもに教えてもらう授業
      ・正解をいつでも講師が知っている訳ではない
      ・知らないことでも,出来映えを評価でき,改善を指摘できる講師
    ◯教科横断的な研修と総合学習的な授業
      ・コンピュータを媒介に,全教科全学年に共通の話題
      ・他教科・他学年を知ることで,子どもの身になれる
    ◯過去の研修成果を参考にできる研修と情報を残せる授業
      ・最初は例示を参考に,次からは自分達の研修成果を事例に
      ・残して積み上げる。先輩の上を行く。
    ◯意欲がもてる研修と魅力的な授業づくり
      ・自分で苦労して,仲間と切磋琢磨してできあがった達成感を,授業にも
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    出典:コンピュータ教育開発センター(1998)
      『コンピュータ活用実践授業のための研修カリキュラムの在り方に関する調査研究報告書
       〜校内研修を中心として〜』p.14より
    





    参考文献