プログラムの著作物(10条1項9号)について、その保護の対象となるのは、 ソース・プログラム、コンピュータに実行可能な機械語命令によるオブジェク ト・プログラム、OS、アプリケーション・プログラムです。プログラム言語 やその用法に関する規約や指令の組み合わせ方法である解法は著作権法が保護 する「表現」ではないので対象ではありません(10条3項)。すでに著作者 人格権のところで見たように、デバグやバージョンアップのための必要な改変 については、同一性保持権の例外で著作権の侵害とはなりません(20条2項 3号)。また、プログラムの複製物の所有者によるバックアップ用コピーなど、 自己の利用のために必要な複製や翻案(デバグなど)は認められます(47条 の2)が、それを公衆に頒布や提示した場合は無許諾の複製・翻案を行ったも のとみなされます(49条1項3号、同条2項2号)。市販プログラムを1台 分だけ購入し複数のパソコンにインストールすることは、複製権侵害となりま す。海賊版プログラムであることを知りながら使用する行為も著作権侵害行為 です(113条2項)。なお、コンピュータ・グラフィックも、プログラムと は別個に著作権の対象となります。ルックアンドフィール(look and feel, 見た目と使い勝手)も著作物ですが、グラフィカル・ユーザーインターフェー スについてマッキントッシュとMSウィンドウズの類似性は著作権の侵害にあ たらないとの裁判が1994年9月に米国でありました。