熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
[第10回]IT分野の研究事例(4)
IT分野の研究事例(4)
今回のタスク(課題)
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第10回: IT分野の研究事例(4)(担当:久保田真一郎)

内容を読んで、「今回のタスク」を行ってください。

[はじめに]

みなさん,こんにちは.IT分野を担当します久保田真一郎です. ここでは私の現在の研究について手短に紹介し, 多くは皆さんがより多くの事例を眺める時間にしたいと思います.

[研究に対する私の視点]

私はよくひとつの視点に立って研究を始めています. それは「だれかの役に立つために」という視点です. このときの「だれか」はだれでも良いのですが, 何かしら「人の役に立つものを」と考えています. これは諸刃の剣であることに注意が必要です. つまり,ある特定のAさんにとって役に立つ研究は, まったく関係のないBさんにとっては役に立たないわけです. でも,Aさんと同じ境遇の人がたくさんいれば, 幸せな人が多いので, その研究は「人の役に立つ」研究と言えるのでは ないでしょうか. この視点が正しいと言う訳ではありません. みなさんはみなさんの視点を見つけて 研究を進めてはいかがでしょうか.

[私の研究]

私の研究を皆さんにご紹介します.ともに進行中のため, 未だ結果は出ておりません.日々資料収集と実験の繰り返しです.

IP電話を利用した学習支援システムの研究

大学の講義にWebブラウザを利用したラーニングシステムが稼働する今日において, Webシステムを用い,効率よくフィードバックを得ることは重要となっている.私の研 究では,IP電話システムを用いて,フィードバックを得る方法とフィードバックによる教 授方法の改善およびそれを援助することを目的としている. 本研究では,オープンソースのSIPサーバ(IP電話システム)により受講生の質問を 自動電話受付し,録音する仕組みによる情報収集と同時に現在の講義を支援する音 声教材の作成を行い,現行のラーニングシステムをサポートするシステムの 基礎研究を行っている. 音声を記録する仕組みにSIPサーバを用い,音声の入力には携帯電 話や一般の固定電話を用いることでユーザビリティの高いシステムを目指す点が, この研究の特徴である.

Flex SDK による学習コンテンツ開発の研究

近年,ブロードバンド環境の普及に伴い,Webを利用した 学習環境であるLMS(Learning Management System)が広く 利用されている.LMSは学習者情報,学習コンテンツの管理, 学習者の学習履歴の管理を行うシステムである. このLMSで管理される学習コンテンツ の規格のひとつがSCORM(Sharable Content Object Reference Model) 規格である. この学習コンテンツの規格化は, 学習コンテンツの互換性や再利用を可能にする. 最新の規格としてはSCORM2004があるが, SCORM2004に対応したLMSは少なく,SCORM1.2が広く利用されている. SCORMでは,学習コンテンツとLMSとの間の通信に用いるAPIおよび 受渡しが行われるデータモデルに関して規定がある. このため,SCORM準拠のLMS および学習コンテンツであればLMSから学習者氏名やIDを学習 コンテンツに表示したり,逆に学習コンテンツで実行された テストの点数や判定結果を LMSに送信し,履歴として記録することができる.

このSCORMに準拠した学習コンテンツの開発を行うにあたって Web2.0アプリケーションの開発技術のひとつとして注目される Flex SDK の利用を試みている.Flex SDK を利用する理由としては 以下の特徴があげられる.

・開発されたアプリケーションは Flash Player で動作するため, 主要なWebブラウザ上で動作する.

・Flex SDK はオープンソースで提供されているため,多くの開発者の協力が得られ,誰もが容易にFlexアプリケーションを開発できる.

・ユーザインターフェースはmxmlというマークアップ言語を用い,簡単に作成できる.

・ActionScript3を用いて、独自コンポーネントを作成できる.

本研究では,このFlex SDKを用い, LMS上で動作する SCORM1.2対応の学習コンテンツ開発を行っている.