熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
14.まとめ:理論で実践はどう変わるか

【第14回】まとめ:理論で実践はどう変わるか
はじめに~

基盤的教育論では、これまでに3つのブロックにおいて、教育学の視点からeラーニング実践を点検するための基礎を固めてきた。
「学習指導・評価論」では、これまでに考え方と評価について提案されてきたいくつかの方法論とメディアの関係について検討した。
「学習心理学の3大潮流」では、「行動主義」「認知主義」「構成主義」の流れを概観し、適材適所でそれらの心理学的知見を生かそうとする「折衷主義」について検討した。
最後の「教育学の2大潮流」では、「系統主義」と「経験主義」を対局において、それを統合しようとするデューイの教育哲学と村井実が指摘する「教育のパラドックス」について検討した。

今振り返って、印象に残っているものはどれくらいあるだろうか。eラーニングを見る目が多少は変化しただろうか。「教育」のイメージが少しは変わり、「教育」に携わっていることに誇りと自信が持てるようになっただろうか。
基盤的教育論の学習成果は、最後の課題「リフレクションペーパーⅡ」で思う存分語り合ってもらおう。多少無理をしてでも、「理論は実践に役に立つ」といって欲しいと思うからこそ設定した課題であります、はい。

理論を実践に生かしていく、あるいは、理論と実践を橋渡しするために存在する学問に、「教育工学(Educational Technology)」と呼ばれる分野がある。教授システム学の親学問と考えられる領域で、およそ40年の伝統がある。今回は、「教育工学」における考え方の特徴を紹介した鈴木の論考を読んで、「理論を実践に生かすための視座」を獲得して欲しい。そこには、教育現象をシステムとしてとらえる教育工学的思考の特徴が紹介されている。

◇指定論文◇
鈴木克明(1995)「第10章 テクノロジーとして学校教育を見直す」
『放送利用からの授業デザイナー入門-若い先生へのメッセージ-』(放送教育叢書23)日本放送教育協会より