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[第13回]IM分野の研究事例(3) IM分野の研究事例(3)
--研究テーマ紹介
今回のタスク(課題)
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◎第13回: IM分野の研究事例(3)(担当:渡邊あや)[はじめに]今年度の4月に、本学において授業を担当するようになって初めてWebCTに触れたという、(最後の?)アナログ世代の渡邊です。本専攻では、高等教育機関の組織文化について理解を深め、戦略的運営に思いを巡らせ、高等教育という場におけるeラーニングのあり方に社会科学的にアプローチする方法を検討する、といったような取り組みを行っていきたいと考えています。 ![]() [これまでに担当者が行ってきた研究]渡邊がこれまで行ってきた主要な研究をe-learningということに捉われずに挙げると、次のようになります:
1)高等教育交流の展開 ![]() 1)については、主に大学間の国際交流や国際的な人の移動などの動向について、調査研究を進めてきました。このテーマは、業務として携わらせていただいたものが中心であることから、比較的実践的なものが多いと思います。
○日本学術振興会『大学国際戦略本部強化事業(研究環境国際化の手法開発)大学の優れた国際展開モデルについて(中間報告書)』2007年。 ![]() 2)については、当初は、高等教育に関する調査研究を行ってきたのですが、近年は、自称比較国際教育学研究者としてのアイデンティティの追求にめざめ(?)、学力問題、カリキュラム、教員給与など教育財政、教育政策など、多様な領域を扱っています。基本的には、制度・政策を対象とする研究が多いのですが、EUが掲げるキー・コンピテンシーや、近年、わが国の教育政策において頻繁に登場する所謂「PISA型学力」とのかかわりの中で、義務教育が保障すべき学力とは、という問いについて考えたりもしています。
○拙稿「PISA好成績を支えるシステムと進む教育改革」庄井良信・中嶋博編著『フィンランドに学ぶ教育と学力』明石書店、2005年。 ![]() 本専攻において渡邊が担当している分野に最も近いと思われる3)については、大学の自律性を担保するようなしくみについて、管理運営の視点から調査研究を進めています。これまで行ってきたものとしては、高等教育の質保証や、大学内部における意思決定のしくみ、財政配分などを対象とするものがあります。
○渡邊あや・米澤彰純「フィンランドにおける大学評価と財政配分とのリンク」『大学評価』(大学評価・学位授与機構研究紀要)第3号、147-166頁、2003年。 ![]() 以上のことから明らかであるように、e-learningに直接関係する研究には、あまり携わってきていない渡邊ですが、8年ほど前に、広義では関連すると思われるプロジェクトに従事したこともあります。 ひとつは、「情報技術の進展に伴う教科書や教材のあり方に関する調査研究」という教科書研究センターが中心になって行った調査です。これは、紙媒体の教科書の未来を探るべく、ソフトウェア教材の開発状況やそれに伴う「教科書」メディアの変化について行った調査で、シンガポールの事例を担当しました。もうひとつは、「ヴァーチャル・ユニバーシティの社会的インパクトに関する研究:未来の高等教育像の視点から」というものです。これは、ヴァーチャル・ユニバーシティの発展が、社会、そしてその一部である高等教育に与える(た)影響を分析しようと試みたものです。研究計画の段階では、かなり大きな夢を描いていたのですが、具体化していくにつれ、研究的な制約と現実の壁にぶつかることとなりました。最終的には、フィンランドを事例として、ヴァーチャル・ユニバーシティが大学に与えた影響を、政策分析と組織変容の検証を通じて明らかにするという形に落ち着きましたが、「小さくまとまってしまった」ため、消化不良のまま終わった研究のひとつと考えています。 ![]() [課題]そこで、今回の課題です。皆さんが、「ヴァーチャル・ユニバーシティのインパクト」について研究することとなったならば:
(1)何を対象として
この研究に取り組みますか? ● 参考文献
・今田高俊編『社会学研究法=リアリティのとらえ方』有斐閣、2000年。 |