熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
3.キャロルの時間モデルと完全習得学習

◆ PSI:個別化教授システム ◆

PSIとは「個別化教授システム(Personalized System of Instruction)」の略であり、1960年代にF.S.Kellerによって提案され、主に高等教育で実践された完全習得学習の一形態である。PSIが実施された初期は、印刷物を独習用教材として用いていた。近年では、インターネットの普及によって、Webベースで教材を配信できるようになった。eラーニングのモデルとしても、教授モデルとしてのPSIからは学ぶべき点がたくさんあると主張し、自らの実践を重ねている研究者に早稲田大学の向後千春(ちはる、と読むが女性ではない。鈴木と同い年の研究仲間)がいる。

早稲田大学を訪ねて、向後さんの講義を見たり、PSI方式をeラーニングの文脈で実践していることについての思いなどをインタビューしたりしてきた様子は、2006年5月28日(日)22:15~23:00に最初の放送があった、放送大学大学院科目『人間情報科学とeラーニング』第8回eラーニングにおける学習者中心設計とIDの今後(担当講師:鈴木)で紹介した。ここでは、向後さんが発表したPSIについての文献を読み、向後さんがWebサイトで公開しているWebPSI方式の教材を体験してみよう。

WebPSI方式の教材体験(早稲田大学向後研究室)    
ハンバーガーショップで学ぶ楽しい統計学(2004)、アイスクリーム屋さんで学ぶ楽しい統計学(2003)、ネコのぶきっちょと学ぶC言語(2002)、園長と学ぶHTML・スタイルシート(2001)、アフロ先輩と学ぶ実用文の書き方(2000)、つっちーと学ぶ情報処理(2000)が公開されている。一つずつが大学の半期2単位分(15回分)ずつあるので、のめりこみ過ぎないように要注意!


◇ 参考文献 ◇ (ほかにもたくさんありますが、2つだけ厳選しました)
  • 向後千春(2001)「Web教材を利用した個別化教授システム(PSI)を5年間実践した評価」『日本教育工学会第17回全国大会講演論文集』

  • 向後千春(1999)「個別化教授システム(PSI)の大学授業への適用」『コンピュータ&エデュケーション』,Vol.7,pp.117-122