熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
7.行動主義:代理強化とティーチングマシン

【第7回】教育心理学の3大潮流(1)行動主義:代理強化とティーチングマシン
はじめに~

行動主義心理学のメカニズムは刺激=反応と強化である。当時の心理学は、動物の学習から人間への応用を目指していたこともあり、頭の中でなにが起きているかはブラックボックスとして扱い、行動に現れる現象のみをデータとして扱って理論を組み立てた。刺激(Stimulus)を与え、反応(Response)を得る(ここからS-R理論とも呼ばれた)。好ましい反応が起きたときに報酬(えさ、ご褒美)を与えることでその反応を起きやすくすることを「強化」(reinforcement)と呼んだ。ダメな反応に対して罰を与えるよりは、好ましい反応に対して賞を与えることでより学習が促進されると主張した。行動主義に続く認知主義では、人間の頭(体も含む)の中で何が起きているかを説明しようとした(ホワイトボックスとして扱った)ことと、対照的な研究態度である。





当時の行動主義心理学の中心人物であったB.F.スキナーは、ハトやねずみを使って「強化」の概念を研究していた。のちに「スキナー箱」と呼ばれた実験装置には、ハトがくちばしで突っつくための円形の窓(あるいはねずみが前足で押すボタン)が用意され、ある一定の条件(たとえば窓に白色が表示されていたとき)のもとで突っつけばえさ(報酬)がもらえるが、そうでない(たとえば窓が黒色)のときはいくら突っついてもえさが出ない。次第にハトは黒のときは無視し、白に変わると盛んに突っつくようになる。このことで「学習」が成立した、とした。

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