目次:
[第4回]ID分野の研究事例(2) ID分野の研究事例(2)
--はじめに
--研究事例
今回のタスク(課題)
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◎第4回: ID分野の研究事例(2)(担当:北村士朗)[研究事例]前述のとおり、企業内教育や社会人の学習に関しての研究はまだそれほど多くない中で、この分野を俯瞰し、そこに使われるべき理論を挙げ、今後の研究の可能性を示唆している論文がありますので、まずそれを紹介します。
中原淳・荒木淳子(2006)「ワークプレイスラーニング研究序説:企業人材育成を対象とした教育工学のための理論レビュー」教育システム情報学会誌,vol.23, No.2,pp88-103. 経営学特論の第1回(オリエンテーション)でも取り上げられていた論文ですので、履修された方は既に読まれていることでしょう。この論文は企業内の人材育成を研究するにあたって視野に納めておくべき研究知見のレビューであり、これまでの教育工学分野の企業内人材育成や社会人の学びに関する研究の課題や問題点を指摘しています。 余談ですが、筆者の中原さん、荒木さん、そしてこの論文の中に登場する長岡さん(経営学特論の講師でもあります)は私にとって、企業内教育、社会人の学びの研究、そして「ここからはじまる人材育成」(中央経済社)や「企業内人材育成入門」(ダイヤモンド社)を共著した仲間です。私たちは、「働く人のための教育や学びの研究が少ないのはおかしい」という問題意識のもと、ともに勉強し、本を書き、さまざまな活動をしています。 ![]() 次に、企業内の教育に特化された論文ではないにもかかわらず、企業内教育や社会人の学びを考える上で示唆を与えてくれる論文をご紹介します。それは本専攻の専攻長である鈴木先生の論文です。
鈴木克明(2005)「〔解説〕教育・学習のモデルとICT利用の展望:教授設計理論の視座から」『教育システム情報学会誌』22巻1号、42-53.
鈴木克明(2005)「〔総説〕e-Learning実践のためのインストラクショナル・デザイン」『日本教育工学会誌』29巻3号(特集号:実践段階のe-Learning)197-205. この2つの論文は企業内の教育や社会人の学びそのものを論じているわけではありませんが、前者の冒頭で鈴木先生が述べられているとおり、「企業内教育についての研究の立ち遅れ」という問題意識のもとに書かれていることもあり、この論文で論じられていることに、日ごろ、自分たちが悩んでいることとその解決の糸口を見出した企業内教育や社会人の学びにかかわる人たちは少なくありません(当時、企業で教育部門にいた私自身もその一人です)。 ![]() これらの論文から私が感じることは
ということです。 したがって、この分野でなすべきことは、理論を実践に結びつける実践的研究だと考えています。 私自身は、今後、企業内教育や社会人の学びについて次のような実践的研究をしたいと考えています。
そのためのテストベッドのひとつが社会人が多く学ぶ私たちの専攻ということになります(自分たちはモルモットか?という皆さんの声が聞こえそうですが・・・)。また、熊本大学の職員教育(スタッフ・デベロップメントと呼ばれる領域です)も手がけ始めています。これらの実践の中から面白いネタを日々探しています。 |