熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
【第5回】ペイント系ソフト、画像ファイルの形式とその特色
第1章
第2章
第3章

レイヤーによる画像構成

【本節の目的】
レイヤー構造と操作方法の基礎を習得する

レイヤーは、より複雑な画像を作成する際に便利な機能です。それだけでなく、 一度描いた画像を、効率良く変更できるという特長をもっています。 そのため、GIMPのようにレイヤー機能のあるペイント系ソフトウェアでは、 できる限りレイヤー機能を利用して描画するようにしましょう。

レイヤーとは

レイヤーとは、複数の透明なシート(レイヤー)に別々に画像を描き、 最後に重ね合わせることで、1枚の画像を構成するという手法です。 (ちょうどアニメが、複数のセル画で構成されているのと同じです。)
下の図は、「△」、「○」、「□」がそれぞれ別のレイヤー(シート)に、 描かれている模式図です。更に、背景も一枚のシートで構成されており、 4枚のシートで1枚の画像を作っているところです。


レイヤーを用いるのは、「部分画像を、 部品として構成することができる」からです。 具体的には、以下のような利点があります。
  • 部品画像の重ねる順番を、 画像を描いた後に自由に変えることができます。
      例えば、下図において左図を右図のように変更したくなったら、 どうしますか?(△は、上下も入れ替わっています。)
      レイヤー無しで変更するには、全部描き直す以外に方法はありませんね。


  • レイヤー(部品)ごとに修正が可能です。
      例えば、レイヤー機能無しで上の左図中の「○」を、 削除することができますか?
  • うまく消すことができても、消えた「□」の一部を、 描かなければなりませんね。
      レイヤー機能があれば、「○」のレイヤーの画像をすべて消すか、 「○」のレイヤー自体を無くしてしまえばOKですね。

レイヤー操作

レイヤーを操作するには、「レイヤー、チャンネル&パス」 ダイアログを用います。
表示されていない場合は、ツールボックスのメニューより 「ダイアログ」 → 「レイヤー、チャンネル&パス」を選択して表示させます。


現在選択しているレイヤーは反転表示されます。描画ツールなどで図を描くと、 選択されているレイヤーに追加されます。
別のレイヤーをクリックすると、そのレイヤーが選択され操作の対象となります。
また、各レイヤーの左端にある目の形のアイコンにより、 描画画面上のレイヤーの表示状態(「表示」もしくは「非表示」)を切り替えることができます。

レイヤーの作成


レイヤーを作成するには、「レイヤー、チャンネル&パス」 ダイアログの左下にある「新規レイヤー」アイコンをクリックします。


現われたウィンドウで「透明」を選択すれば透明なレイヤーを作成します。


(注意)
透明なレイヤーを作成しても、描画領域の見た目は何も変わりません。
(描画領域全体に、透明なシートを重ねただけですので、当然ですよね。) 「レイヤー、チャンネル&パス」で、 選択されている(色が反転している)レイヤーを確認してから、 描画するようにして下さい。

重なり順序の変更


レイヤーは積み重ねることができるため、 重ねる順序によって画像全体の構成が変化します。 「レイヤー、チャンネル&パス」ダイアログの下方にある 「前面へ」アイコンや「背面へ」アイコンをクリックすることで、 選択したレイヤーを各方向(上もしくは下)に移動します。


レイヤーの削除


選択したレイヤーを削除するには、「レイヤー削除」アイコンをクリックします。



レイヤー機能の使い方の練習

【演習 4】
演習 3で作った「ex2.xcf」を、 同じフォルダに「ex3.xcf」というファイル名で保存し、 新規レイヤーを2枚以上作成し、上記の機能を試しながら、 新しい画像や文字を追加しなさい。

レイヤーに関する注意事項


  • 「背景」となる一番下のレイヤーには、 透明な部分がないように注意して下さい。 GIMP専用の保存形式である「XCF」形式以外(「JPEG」等)では、 透明に対応していないものがあります。

  • 「JPEG」等のGIMP専用保存形式以外の形式で画像を保存すると、 レイヤーは統合されてレイヤーが1枚の画像になってしまいます。
    後で変更する可能性のある画像は(ほとんどが、そうですね)、 必ず専用の「XCF」形式で一度保存してから、 その後「別名で保存」を選択して、 所望の形式で保存するようにして下さい。

  • 「XCF」形式はファイルサイズが大きくなりがちですので、 ときどきファイルサイズを確認して下さい。
    ファイルサイズは、 「マイドキュメント」から順に開いたウィンドウで、 サイズを調べたいファイルのアイコンを、 クリックし、 「プロパティ」メニューを選ぶことで確認することができます。





    表示形式によっては、ファイルのアイコン横のファイル名欄に ファイルサイズが表示されていることもあります。


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