熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
10.折衷主義:学習科学とデザイン実験アプローチ

◆ジグソー法 ◆

ジグソー法:デザイン実験アプローチで洗練された教育手法

ジグソー法とは、協同学習を促すためにアロンソンによって編み出された方法である。1つの長い文章を3つの部分に切って、それぞれを3人グループの1人ずつが受け持って勉強する。それを持ち寄って互いに自分が勉強したところを紹介しあって、ジグソーパズルを解くように全体像を協力して浮かび上がらせる手法。ジグソー法は、最近日本でもさまざまな研修に取り入れられている。文章の断片の代わりに互いに異なる事例を勉強したあとで、自分が勉強した事例のグループの代表選手として他の事例を勉強した代表選手と一緒にジグソーグループを編成し、相互の共通性や相違点を比較検討する。それぞれ自分の勉強した事例については自分しか詳しく知っている者がいないので、他のメンバーに教える必然性が生じるところがミソだ。分担する題材やグループ編成の方法などによってさまざまな場面で用いられる学習方法に洗練された。


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ジグソー法の洗練には、学習科学の先駆者といわれるアン・ブラウンによる一連の研究が重要な役割を果たした(三宅・白水、2003、5章2節)。学習科学の研究を進めるために、現場に長く滞在し、その中で効果的な教え方を考案・実践し、ジグソー法をどのタイミングでどのような使い方で用いると効果が上がるかを丹念に調べた。当初は要因を明らかにすることに興味があったが、次第に目の前にいる子どもたちに実力をつけることに関心がシフトしたという。「学習科学を先導した者たちにとって解くべき課題そのものが進化した時期だったといえるかもしれない。」(p.74)と三宅・白水は説明している。


学習心理学の研究も、ここまでいくと、教育実践に直接的に役立つ学問になりそうですね。ちなみに、この先には、「学習コミュニティ形成論」としてブラウンの共同研究者でもあったコリンズによってまとめられたインストラクショナルデザイン理論が存在する、と付記しておくことにします(鈴木,2005,表2参照)。