熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
【第8回】URIとサーバ:SCP,FTP
第1章
第3章
第4章
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仮想世界と実世界にあるWWWサーバでの対応

【本節の目的】
相対URIとは何か、そしてどんな特徴があるのかなどについて学習します。

仮想世界と実世界にあるWWWサーバでの対応

前回には、WWWサーバを摸擬した仮想世界でのファイルの特定について学習しました。 そこでは、単にファイル名を指定しただけではファイルを特定できないことを学び、 続いてそれを解決する方法として絶対参照や相対参照があることを学びました。

実はこの仮想世界でのファイルの特定方法は、 実際のWWWサーバでも全く同様に利用できるのです。

前回利用した仮想世界のサンプル図、並びに、 それと同じ構造をもつWWWサーバのフォルダ/ファイルを表現した構成図を以下に示します。 左側が仮想世界の、右側が実世界のWWWサーバの構成です。

仮想世界1 WWWサーバ1

仮想世界(左図)では部屋が、実世界を表現した図(右図)ではフォルダが、 どちらも4階層あります。 それぞれの階層にある部屋の名前とフォルダ名が対応していることを確認して下さい。 (仮想世界では、ルートディレクトリ名が省略されていますが、 どれかわかりますよね。)
また、仮想世界の各部屋の中にあるものやすぐ下の階層にある部屋の構成と、 実世界のフォルダの中にあるファイルやすぐ下の階層にあるフォルダの構成が 同じであることも確認して下さい。

ここで、この2つの世界を表す図の表現方法に、 大きな違いがあることに気づきましたか? この2つの図の対応がうまくとれない人がいたら、 その原因この違いでは無いかと思われますので、 これからその違いについて説明します。

それは、仮想世界の部屋や物の位置関係と、 実世界を表現したフォルダやファイル位置関係の違いです。

例えば、仮想世界のソフトクリームのt0.html (/public_html/w05/test/t0.html) に注目して下さい。このソフトクリームは、 「testと名前のついた部屋の」にありますね。 ところが、 対応する実世界表示(右図)の水色のt0.htmlでは、 「testフォルダの」ではなく、 「testフォルダの」に描かれています。 実際には、t0.htmlというファイルは、仮想世界と同様に、 「testフォルダの中に格納されている」のです。

このため、実際のサーバ(実世界)では、 ファイルやフォルダが、あるフォルダに格納されていることを 図から読み取れなかったのではないでしょうか。

さらに、別の部屋(フォルダ)を見てみましょう。 仮想世界を表す左図の public_htmlの部屋の中を見て下さい。 (ケーキの)ex1.htmlと2つの部屋(w04とw05)の入口がありますね。 実世界を表示した右図では、public_html フォルダの下に ex1.htmlというファイルと、w04及びw05というフォルダが描かれています。 先の説明から、実世界表示図では、 「フォルダの下に描かれているものは、フォルダに格納されいる」 ことを表わしています。ですから、public_htmlの中に、 ex1.htmlというファイルと、w04及びw05というフォルダがあることになります。 確かにw04とw05フォルダは、 public_htmlフォルダに概念的には含まれるので、 まずはそのように認識できるようになって下さい。

しかし、実は仮想世界と同じようにw04とw05フォルダは、 入口がpublic_htmlフォルダの中にあるだけなのです。 実際にはw04とw05は、別のところに作られるため、 その中にはどれだけでもファイルを格納することができます。 つまり、public_htmlで確保された領域の大きさ(部屋の大きさ)に関係せず、 ハードウェアの限界内であれば、容量制限無く格納できます。 (フォルダの中に作られたフォルダには、 余りファイルを格納することができないと思っていませんでしたか?)

これまで、 WWWサーバのフォルダ構成を仮想世界と実世界という言葉で表わしてきましたが、 実は、これまで「実世界を表現している図」と言ってきたの方(右図)が、 実際のサーバのフォルダ構成を単純な図で表わした「仮想的な表現」であり、 「(熊太郎のいる)仮想世界の図」と言ってきた図が、 実際のフォルダとファイルの関係に近いのです。 通常は、サーバやPC上のフォルダ構成の図は、 「実世界を表現している図」の形式で表わされますので、 皆さんは、その図を見たら、 「(熊太郎のいる)仮想世界」を思い出しながら、 ファイルやフォルダの格納状況 (構成)を頭に描いて、 ファイルの参照 (特定) を行なって下さい。

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