鈴木克明(1995)『放送利用からの授業デザイナー入門〜若い先生へのメッセージ〜』財団法人 日本放送教育協会

詳細目次

back

まえがき


序 章 助っ人としての放送

1 放送番組を使わないのは「もったいない」〜助っ人としての放送〜 4
2 「助っ人」の存在をどう生かすか〜ライバルとしての放送〜 5
3 本書から何を得るか〜教師としての力量をつける放送教育〜 6


第1章 個人差への対応を整理する枠組み

はじめに キャロルの時間モデル 14
1 キャロルの時間モデルとの出会い 14
2 成績の差はどこから来るのか〜能力差から時間差へのパラダイムシフト〜 16
3 学習に必要な時間を左右する要因 18
⑴課題への適性  ⑵授業の質  ⑶授業理解力
4 学習に費やされる時間を左右する要因 20
⑴学習機会(許容された学習時間)  ⑵学習持続力
5 個人差への対応を整理する 21
6 自分の人生設計ができる子どもを育てる〜時間をどう使うかを決めるのはだれ?〜 23


第2章 学習のプロセスを支援する授業の構成

はじめに 学びのプロセスを援助する授業構成の枠組み 29
1 授業設計理論の父:R.M.ガニェ 29
2 ガニェの九つの教授事象〜学びのプロセスを支援する外的条件を整える〜 30
3 導入:新しい学習への準備を整える 32
4 情報提示と学習活動:新しい事柄を自分のものにする 33
5 まとめ:でき具合を確かめ、忘れないようにする 34
6 この枠組みをどう生かすか〜「折衷主義」の精神〜 35


第3章 授業のねらいを分類する枠組み

はじめに 授業設計の整合性への枠組み 43
1 ガニェの学習成果の五分類〜学習成立条件の差による分類法〜 43
2 知的技能の学習条件 46
3 言語情報の学習条件 47
4 認知的方略(学習技能)の学習条件 48
5 態度の学習条件 49
6 運動技能の学習条件 51
7 この枠組みをどう生かすか〜教育研究の成果を共有するために〜 52


第4章 〈関心・意欲・態度〉の評価をめぐって

はじめに 授業の評価について〜とくに情意領域の評価をめぐって〜 59
1 何のための評価か? 60
2 授業改善のための評価の特徴 61
3 評価のための評価? 62
4 情意領域の評価方法 63
5 放送教育研究での成果 65
6 研究成果を支えたもの 66
7 情意領域をどう扱うか? 67
8 評価を授業改善の契機に 68


第5章 授業の魅力を高める作戦〜ARCSモデルに学ぶ(1)〜

はじめに 「授業の魅力」について 75
1 ケラーのARCS動機づけモデル 75
2 学習意欲を高める作戦 78
3 学習意欲と放送利用〜放送教育が何をなしうるのか〜 84
⑴身を乗り出させ、学習へのきっかけをつくる手段としての放送:注意の側面
⑵現実社会と学校知を結ぶ「窓」としての放送:関連性の側面
⑶情報活用能力を育てるメディアとしての放送:自信の側面
⑷放送発信基地としての学校:満足感の側面
4 「授業の魅力」を左右するのは何か 88


第6章 学習意欲を育てる授業の設計 〜ARCSモデルに学ぶ(2)〜

はじめに 学習意欲を高める放送利用 97
1 だれに何を教えるのか|学習者と学習課題の要因 97
⑴だれに教えるのか|入口の吟味  ⑵何を教えるのか|出口の吟味
2 何で教えるのか|放送メディアと番組構成の要因 101
⑴放送メディアの要因|可能性としての魅力  
⑵番組構成の要因|メディア特性を生かしているか
3 放送番組をどう使うか|指導方略の要因 105
⑴新奇性と〈注意〉の側面からの工夫  ⑵繰り返し視聴と〈自信〉の側面からの工夫


第7章 メディアとしての放送と教師

はじめに 教師にとって教育放送とは何か 115
1 メディアとしての放送〜放送のメディア特性〜 115
2 教師がみた放送メディア 116
3 放送の特性と番組の特性 117
4 教師にとってメディアとは何か 118
5 教師とメディアの三つの関係 119
6 放送利用授業はどのタイプか? 120
7 教師もメディア(選択肢)の一つ? 121


第8章 授業デザイナーとしての教師の力量

はじめに メディアとして以外の教師の役割とは何か 129
1 授業を設計するのですか? 129
2 授業を設計しないのですか? 131
3 バランス感覚と効率重視 133
4 ゴール達成の重視 134
5 メーガーの三つの質問 136
6 授業設計の整合性と「三色もなか」 137
7 私にも使える科学的な方法論 139


第9章 これからの学校とこれからの放送教育

はじめに 「これからの学校をどうするのか?」という問い 145
1 情報活用能力を育てる学校 146
2 優秀な労働者を育てるこれまでの学校 147
3 工業社会型学校を支える教育放送 149
4 学校改革の動きと学校の情報技術モデル 150
5 放送教育がなしうること:学校を変える 153


第10章 テクノロジーとして学校教育を見直す

はじめに 理由なき伝統継承を問う 159
1 教育工学は教育の機械化か?〜ハードウェアの活用としての教育工学 159
2 教育工学は機械利用方法の研究か?〜ソフトウェアの活用としての教育工学 160
3 テクノロジーとしての教育工学 162
4 教育工学的思考の特徴〜教育現象をシステムとしてとらえる 164
⑴教育現象をシステムとしてとらえる〜システム的思考
⑵慣習に捕われた思考を排除する〜柔軟な思考
⑶研究の「現実離れ」を防ぐ〜問題解決志向
⑷名人芸の秘密を万人に共有する〜一般化への志向
⑸データをもって理論化する〜実証的、帰納的思考
5 見直すときに寄って立つ基盤=教育 170


第11章 成功的教育観を堅持するために

はじめに 力量を高める手ごたえをどう得るか 177
1 成功的教育観とは何か 177
2 「教える」の成功的用法と意図的用法 178
3 結果を出す準備を 179
4 成功的教育観を維持することへの障害 181
⑴授業の成果を客観的で明確に示すことは難しい。(技術的な障害)
⑵見る人が見れば一目でわかる。(経験至上主義)
⑶身につけるのは子どもの責任である。(意図的教育観)
⑷カリキュラムが過密すぎる。(制度的物理的条件)
⑸進級テストがない。(結果を出す必要がない)
5 自分は授業で本当に教えていると言えるのか 189
6 結果を出すためのチェックリスト 190
7 授業改善への努力をどう持続するか 192


事後テスト



あとがき ありがとう宮城大会

1 成功裏に幕を閉じたことに感謝 196
2 一日開催の宮城大会 197
3 進化するハイビジョン利用術 198
4 ハイビジョンを「普通のテレビ」に 199
5 ハイビジョンをマルチメディアの窓に 200
6 研究を振り返って 202
7 おわりに〜多くの「未測量」を残して 203

索 引

著者略歴・初出一覧