熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
[第2回]発表を効果的に行う/学会誌に研究論文を掲載する
発表を効果的に行う
--今回のタスクその1(課題)
学会誌に研究論文を掲載する
--今回のタスクその2(課題)
課題提出
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第2回: (3)発表を効果的に行う (3章)

[学会発表で使うスライドを想像してみよう]

テキスト第3章は理解できただろうか。ここでは、「社会人向けeラーニング教材の教育設計分析と設計ガイドラインの提案」に取り組んでいる皆さんの先輩(仮想的人物)が準備した研究計画を発表するためのスライド資料を覗いてみよう。

学会発表「社会人向けeラーニング教材の教育設計分析と設計ガイドラインの提案」10-15分用スライド案

スライドの内容 解 説
スライド1 最初のスライドには、タイトル、発表者名、どこでいつ何のための発表かを書いておく。「教授システム学専攻」を宣伝するために必ず入れる。
スライド2 二枚目のスライドには、この研究での結論を書く。「え?本当?」と聞く気にさせる効果をねらう。「目次」よりは「結論」を書くことを勧める。
スライド3 研究の成果を具体的に示すために、具体的イメージをなるべく早く提示する。システム開発であれば開発したシステムのユーザインタフェース、ガイドライン開発であれば、具体的な項目など。
スライド4 ここからは、プロポーザル(予稿集)原稿の流れに従って、項目をカバーしていく。

まずは研究の背景について述べる。引用で単なる個人的な興味でやった研究ではなく(本当はそうだとしても)、社会的な問題にチャレンジしたものだということを述べる。「なるほど、そういう問題が確かにあるなぁ」と思わせる。
スライド5 現状認識について述べる。自分の研究は、今までの研究では成し得なかった何かをやったのだ、ということを示すためには、「ここまではできているのですが、このあたりがちょっと不足しているので、そこを埋めるためにやったのです」ということを納得させる。重要な研究を知った上でやっていることを確認する。もしかすると、先行研究を行った当人(あるいは関係者)も聞いているかもしれないので、あまり否定的にならないように注意が必要。
スライド6 研究の目的について述べる。ここでは、研究を進める上で重要な役割を果たした先行研究を名指しして紹介している。そのほか、「教育的含意(Educational Implications)」をここで述べるのも効果的(この研究の目的が達成されたら誰が嬉しいのかを述べる。聞き手も嬉しいかもしれない)。
スライド7 研究を進める上で重要な役割を果たした先行研究を名指しして紹介した場合、その研究の概要を紹介する。とくに、参考にした部分を中心に、できるだけ具体的に述べる。
スライド8 研究を進めた方法について順に紹介する。まずここでは、聞き取り調査をどのように進めたのか。その結果どうなったかを述べる。必要に応じて数枚のスライドを使い、具体物を織り交ぜるのが良い。
スライド9 聞き取り調査について説明する際に、具体物を織り交ぜるスライドの例(このように挿入する)。
スライド10 研究方法の紹介の続き。ガイドラインの形成的評価をどのように進めたのか。その結果どうなったかを述べる。必要に応じて数枚のスライドを使い、具体物を織り交ぜるのが良い。
スライド11 本研究では(本当はやりたかったことだが)できなかった次の一手についての提案をまとめる。どっちにしてもやらなかった(やらない)ので、簡単に述べるに留める。ここでは、次のことも良く考えている、という印象と、本研究の限界について認識しているということを伝えることに主眼がある。
スライド12 最後に、Say what you have said。時間調整の意味でも、このスライドを入れておく。「ご清聴ありがとうございました」とか「ご指導(質問)をお願いします」というスライドは無意味。言葉で言えばよい。時間が余ったら、このスライドに書かれていることをゆっくりと読みながら振り返ることでまとめる。時間がなければ、これを表示したらすぐに、「以上です。ご指導よろしくお願いします」と言えば良い。