熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
[第2回]発表を効果的に行う/学会誌に研究論文を掲載する
発表を効果的に行う
--今回のタスクその1(課題)
学会誌に研究論文を掲載する
--今回のタスクその2(課題)
課題提出
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第2回: (3)発表を効果的に行う (3章)

二枚目のスライドに「目次」はやめよう(私見)

発表スライドは、基本的にプロポーザルに書いた内容について準備する。どんな研究をやった(やりたい)のかを伝えるためには、研究の背景、現状、目的、方法、(期待される)結果を説明していく。この王道を外すことはできない。一方で、「書くこと」と「話すこと」との間にある「コミュニケーションモードの違い」を意識して「話す」ことを考えよう。主な違いは、「如何に始めるか」の工夫にある、と筆者は思う。

学会発表(もしくは研究計画のプレゼンテーション)が10-15分であるとすれば、短時間に言いたいことをどのように話すかについて、一週間以上かけて、用意周到な工夫が必要だ(テキストp.70参照)。一枚目のスライドは「タイトル・発表者」などの情報を示すこととして、問題は二枚目のスライドに何を書くかだ。よく見る「目次」(今日の発表ではこのようなことを話します)は、スタートダッシュとしては「最低の始め方」だというのが筆者の偏見。90分の講義ならば「目次」もよい。半日、あるいは一日かけて行う研修であれば、「目次」とともに研修のスケジュールを示すのが礼儀だ。しかし、10-15分のプレゼンには「目次」で無駄にする時間はない。
筆者は、二枚目のスライドに「一番言いたいことを書く」ことを勧めている(自分でも実行するように心がけている)。「なるほど、それならばこの発表を聞いてみよう」と思わせるメッセージがあるとよい。研究発表(計画発表)の場合、それは「この研究で何がわかった(わかる)のか」、つまり、研究の結論と意義をまとめて話そう。三枚目からは、「なぜそんなことが言えるのか」について、王道に従い説明する。

Say what you are going to say, say it, and say what you have said. (何を今から話すかを話す。次にそれを話す。最後に、何を話したかを話す) これがスピーチの基本構造であるが、学会発表も何らそれと変わりはない。重要なことは三回ぐらい言わないと聞き手には伝わらない。同じことを言う三回でも、最初は「ほんとかよ?」、次は「なるほどねぇ」、そして最後には「すごいかもしれない。聞いてよかったなぁ」と思わせるようにする(ARCSモデルみたいですが・・・)。「目次」は"Say what you are going to say"であることは間違いないが、中身がない。枠だけ示すことになり、最善のスタートではない、と筆者は思う。「目次」のかわりに「結論」を二枚目に盛り込もう。「結論に直接入ろう(テキストp.77)」。

話しているつもりで書いているこの科目でも、「重要なことは三回書いている」つもりだが、伝わっただろうか?しつこいって?