目次:
[第2回]発表を効果的に行う/学会誌に研究論文を掲載する 発表を効果的に行う
--はじめに
--第3章クイズ
--今回のタスクその1(課題)
学会誌に研究論文を掲載する
--はじめに
--第4章クイズ
--今回のタスクその2(課題)
課題提出
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◎第2回: (4)学会誌に研究論文を掲載する (4章)[学会誌の論文]まずは手始めに、学会誌に掲載された論文をひとつ読んでみよう。ここでは、架空の先輩「克子さん」が研究計画の基礎として取り上げた論文(松田ら 2005)をどのように読んだかを紹介する。論文を読む、といっても、ただ闇雲に読み進めるのではなく、タイトルと要約(サマリー)を中心に、自分の研究と関連がある「知りたいこと」を本文から拾っていく読み方を紹介する。 STEP1: 読みたい論文を探す本当に読みたい論文かどうかを見極めるのはタイトルと要約(サマリー)とキーワード。いくつかの論文を論文誌や検索システム(例:第2回で紹介したGeNii(NII学術コンテンツ・ポータル))で眺める。観察ポイントはタイトルとサマリーとキーワード。気に入った論文(他よりはましだと思う論文)をひとつ選ぶ。ひとつ見つかると、その参考文献リストから「芋づる式に」探すことができるので、まずはどこかからスタートしよう。 STEP2: 読む論文の「書誌情報」を書く(打ち込む)
読む論文を参考文献として自分の論文に載せるためには、誰がいつ書いてどこに掲載された論文かを記録しておく必要がある。この情報(「書誌情報」)は、学会ごとに書き方が指定されているので、それに今から慣れておくのが良い。 STEP3: 論文のタイトルを読んで中身を想像する(読み方の作戦を考える)この論文のタイトルは「eメンタリングガイドラインの形成とその評価」。ということは、「eメンタリング」=eラーニングにおけるメンタリングのための「ガイドライン」を何らかの方法でつくって、それを何らかの方法で評価した論文だ、と想像できる。「社会人向けeラーニング教材の教育設計分析と設計ガイドラインの提案」の研究に取り組んでいる克子さんとしては、「eラーニング」と「ガイドラインの形成と評価」は、自分の計画と関係がありそう。一方で、「メンタリング」は「教材設計」と違うので、必ずしもぴったりくるわけではない、ということが読み取れる。それでよい。あまりにもぴったりきたら、「自分がやろうとしている研究がもうすでに終わっている」ことを意味する危険性があるから。 ここでは、克子さんの問題関心にしたがえば、「メンタリング」が何か、についてはあまり深く知る必要はない。知る必要があるとすれば、自分のガイドラインとどのあたりが違うのか、という差異について、になる。一方、「ガイドライン」という名前のものがどんなものか、それを「どういう方法でつくって評価したか」がむしろ知りたい。という具合に、論文から読み取るものの軽重を、自分の問題関心にしたがってつけていく。 STEP4: 要約・キーワードを読んで論文の骨格をメモする(必要な情報を埋める枠をつくる)この論文の要約とキーワードは、次のとおりです。要約の文ひとつずつを読みながら、どんなことが本文に書いてありそうか、自分の研究関心に答えるものなのかどうかを見極めていきます(この段階で失敗したらまた次の論文にあたることになります)。
[要約]
キーワードについて自分が知っていることや関心をメモしておく。論文を読み進めながらわかったことを追加していく。
STEP5: 本文から必要な情報を集めるいよいよ、論文を読んで、必要な情報を集める。論文は全部読む必要はない。まずは図表を眺める。図表にする、ということは重要な情報を表現したかったからに違いないから。次に見出しを見る。何がどこに書いてあるかが分かる。STEP4までで掘り起こした関心と疑問点を中心に、情報を収集していこう。最初は、事典を片手に「分からない言葉」との戦いかもしれない。書いてあることで理解できないことがあると、気になるのでつい調べてしまう。それも大いに勉強になる。しかし、一方で、知りたかったことが分かればそれでいい、と考える楽天的な読み方もある。どちらの読み方で読むかは、切迫度と興味の度合いによって決められるでしょう。 以下に、克子さんが興味を持った事柄について、論文からどんな情報を得ることができたのかを見てみましょう。興味があれば、どんな論文かを実際にあたってみると良いでしょう。あまり興味が持てなければ、「あぁ、こんな具合にメモすれば良いんだな」という感じだけつかんで、自分が興味を持てる論文探しに時間を使いましょう。 ▼松田論文についてのメモ(鈴木克子の興味・関心から) 高等教育機関<>企業の実務教育:違いはあるか? 大学設置基準などの記述はあるが、大学における特徴は主としてメンタリングとの関係で記述されている。要検討。 メンタリング<>教材設計の指針:違いはあるか? メンタリングは、(1)効果を定義、検証しにくい、(2)他の活動による効果と区別できない、(3)適正値を導くのが難しい、(4)対人スキルなどの「ソフトスキル」に依存する。よって、「学習者に与えた効果を厳密に抽出し評価することではなく、メンタリングがガイドラインにしたがってスムーズに進んだかどうかについて、つまりメンタリングガイドラインを守ることができたかどうかについて確認することが中心となる(p.241-242)」→教材設計ガイドラインではどうか、要検討。 ガイドラインとはどんなものか?
「体系化された原則」(2.1.2)「ガイドライン自体は評価指標ではない」ので、成功かどうかの判断基準にはならない。「包括的かつ詳細な実施計画のスタイルを取るものから、簡単なメモのようなもの、あるいは明文化されない暗黙のルールに近いものまで様々な形式が存在する(p.240)」「記述することは可能であるとみなす」 メンタリングではない学習者支援活動とは何か?(脱線) メンター、チューター、教員などの役割が記述されている。「メンタリングやモデレーティングなど」という記述あり。 実態を反映させた実践ガイドラインの開発手順=>参考になりそう
ガイドラインの開発手順はp.242の図2にある。 ガイドラインの有効性を分析=>どのようにやったか参考になりそう(自分の研究はここまではやらない予定?)
(不可避以外の)不必要なドロップアウトを防ぎ、学習を効率化する=活動の目標と定めている 疑問点:ガイドラインをいきなり正規授業で用いたのか?形成的評価はなかったのか? どうもそうらしい。ガイドラインそのものが進化しているという感じで、前年度と比較している。ある意味まだ発展途上。 ドロップアウト誘発機会とは、ドロップアウトのきっかけとなることのことか? どうもそうらしい。DTEという略語でOUなどの先行研究が紹介されている。 eラーニングプロフェッショナルとは、eLCで考えている資格制度のことか、それとも別のものか?
どうもそうでもなさそう。本研究の成果を「メンタ育成プログラム」開発の基礎とするとしている。 STEP6: 研究を進める上で参考になりそうなポイントを(ついでに疑問点も)列挙しておく以下に、克子さんが論文から得た情報について、自分の論文をまとめるために参考になりそうなポイントをまとめた。疑問点について調べたとすれば、その出典を学会の書式であわせてメモしておくことも忘れずに。そうこうしているうちに、自分の修士論文の「研究の背景」や「現状」について書くために十分な情報が収集できます。千里の道も一歩から。でも、あまり風呂敷を広げすぎないことが論文にまとめるコツです。
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