熊本大学大学院教授システム学専攻
目次:
【第3回】アプリケーションソフト:Office系Tool
第1章
第3章

便利な関数や機能の利用

【本節の目的】
便利な関数や機能の利用方法を練習する

良く使う関数や便利な機能をいくつか練習してみましょう。

オートSumボタンによる合計

[演習 15]
前節で利用したex2.sxcで、 下記の手順に従いオートSumボタンによる合計の計算を行い、上書き保存せよ。 そして、オートSumボタンにより簡単に合計計算ができることを確認せよ。

数式バーの中にある「Σ」のアイコンは、「オートSumボタン」と呼ばれるもので、 このボタンをクリックするだけで、 隣接する行または列の合計を求めることができます。
数百種類用意されている関数の中で、「SUM関数」だけがアイコンとなっているのは、 もっとも頻繁に利用される関数だからです。

例として、後で教科ごとの平均を求めるので、算数の合計を「オートSumボタン」 を使って求めてみましょう。

  1. 「B7」セルをクリックしアクティブセルにし、 「Σ (オートSumボタン)」をクリックします。


  2. すると、「=」を入力しなくても、自動的に「=SUM()」が入力され、 同時に、隣接する数値の範囲が自動的に選択されています。 (この場合選択範囲の外枠は、青色になっています。)
    この範囲で良ければ、単にEnter キーを押します。 もし、選択範囲がずれていたら、選択領域右下隅の黒い四角をドラッグして、 必要な領域が選択されるようにして、Enter キーを押します。


    これで、完了です! 簡単ですね。

    確認のために、セル「B7」をクリックしてアクティブセルにしてみると、 数式入力ボックスに、所望の「=SUM(B3:B6)」が表示されます。



数式のオートフィル

[演習 16]
これまで利用してきたex2.sxcで、 下記の手順に従い数式でもオートフィル機能が使えることを確認し、 実際に数式のオートフィルを行い上書き保存せよ。

同じデータをコピーしたり、数値データを増減させながら作って行く 「オートフィル」機能を、数式に適用すると、式の入力が更に簡単になります。

科目ごとの合計を、「オートフィル」機能を使って、求めてみましょう。

  1. 上で、算数の合計を入力した 「B7」セルをクリックしアクティブセルにします。


  2. オートフィルハンドル(セルの右下隅にある黒い四角)を、 「F7」セルまでドラッグします。





  3. これで、完了です! 簡単ですね。

    本当に、間違い無く式が入力されているのかな?と、 疑っているあなたのために、確認しておきましょう。 「F7」セルをクリックして、アクティブセルにしてみると、 数式入力ボックスに、所望の「=SUM(F3:F6)」表示され、 正確に入力されていることが確認できます。


    (*)疑い深いあなた(さすがに大学生ですね。えらい!)は、 他のセルも試してみて下さい。
なぜ、このようにオートフィルによりコピーすることで、 それぞれ別のセルを参照している式ができるのかについては、「3.8.セル参照」で解説します。

count関数

[演習 17]
これまで利用してきたex2.sxcで、 下記の手順に従い count 関数を使って式を入力し上書き保存し、count 関数の使い方並びに動作を確認せよ。

表が大きくなると、画面を見ながらデータの数を数えるのは、大変です。 また、データ数が少なくても、データの挿入(追加)や削除を行うと、 そのたびに数え直さなくてなりません。
このような機械的な作業は、PCにやってもらいましょう。

count関数が、この働きを行います。count関数は、 引数に含まれる数値データの個数を数えて出力します。 引数が、範囲選択子 (セル番地「:」(コロン)で区切ったもの) の場合は、 その範囲に含まれる数値データの個数を出力します。
式であっても、答え(出力)が数値となる式であれば、 数値データとして取り扱われます。

ここでは、例として受験者数を数えて、セル「B10」に表示させてみましょう。

  1. セル「B10」をクリックしアクティブセルにし、 「=count(」と入力します。


  2. セル「B3」から「B6」までドラッグすると、その領域が選択され、 count関数の引数に「B3:B6」という領域が指定されます。


  3. 最後に、Enter キーを押すと完成です。 受験者は4名(4行のデータで構成されている)ですので、 セル「B10」に「4」が表示されているはずです。
    セル「B10」をクリックしアクティブセルにしてみると、 数式入力ボックスに、count関数の式が表示されることが確認できます。


同様なやり方(誰かの科目ごとの点数を全部選択)で、 科目数を「B11」に表示させると、以下のようになります。
例えば、「B3」から「F3」を範囲としてcount関数を利用すれば良いですね。



[演習 18]
これまで利用してきたex2.sxc中に、 4人の生徒の合計点数の平均をセル「G10」に表示させるようにし、 上書き保存しなさい。
セル「G10」に、合計点の平均を表示するためには、 全員の合計を、受験者数「B10」で割れば良いことが分かります。
  1. まず、「G10」をアクティブセルにし、オートSumボタンをクリックします。



  2. すると、不要な領域まで選択されていますので、 選択領域右下隅の黒い四角をドラッグして、 必要な領域のみが選択されるようにします。 これで、全員の合計が計算できます。






  3. 続けて割算の演算子である「/」(スラッシュ)を入力します。


  4. 最後に、「B10」をクリックし、 Enter キーを押して確定します。






すると、「G10」セルに「###」が現われます。 この記号は、 セルの幅が狭くて表示できない というエラーを表しています。 これは、割り算を行なったために、計算結果が小数になり、 表示すべき桁数が増えたためです。 右下隅に「388.75」と表示されているのが計算結果で、小数点まで含めると、 6文字分の幅が必要になっていることがわかります。

この場合、セル幅を広げるとエラーにならずに表示されますが、 テストの平均点をあまり細かく表示しても仕方ないので、ここでは、
  • 結果の小数点以下を四捨五入して表示する
ことにします。

「書式」メニューの「セル」を選択し、「数」タブを選びます。 その中の「分類」から[数値]を選び、「書式」から[-1234]を選択し、 「OK」をクリックします。

(註) [-1234]というのは、 「整数部分だけを表示しなさい」という書式を表しています。


すると、以下のように、平均点が整数値として表示されるようになりました。




(註) 平均を求めるには、実は、average()という関数が準備されていますので、 これを用いれば、もっと簡単に求めることができます。自分で試してみて下さい。

(註) 書式を変更することで、整数値で表示されるようにしましたが、 計算結果としては、ちゃんと小数点以下の情報を(内部情報として)もっています。

(註) 科目ごとの平均については、 少し説明しなければならない事項がありますので、「3.8.セル参照」で行います。お楽しみに。
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