第14期生 ワード弥生さん

ワード 弥生さん 第14期生
聖路加国際病院 看護師

現在のお仕事について簡単にご紹介いただけますか。

都内の総合病院(約500床)の救命救急センターで看護師として働いています。
GSISの正規生の2年間は夜勤のない放射線科外来に異動しましたが、修了と同時にまた古巣に戻りました。病棟業務の他、院内の横断的活動の中で、BLSのインストラクター、呼吸ケアナース(米国呼吸療法士、海外での臨床経験あり)として院内の呼吸ケアに関するコンサルテーション、人工呼吸管理の研修など教育活動に長年関わっています。

本専攻に入学しようと思ったきっかけを教えてください

教育センターに数年間在籍している時、熊大OBの青木太郎さんが講師でいらしたインストラクショナルデザインに関する研修に参加しました。そこで日本の研修の問題点、TOTEモデルやADDIEモデルなどに初めて触れてもう少し深く学びたいと思い、その後ARCS/ISDセミナーに参加し、熊大の入学を考え始めました。まずは科目履修生として1年半在籍し、仕事や家庭(母の介護も同時進行中)との両立を試してみて、一段落した時点で正規生への受験にむけて準備しました。

入学時の面接では、自組織で長年コーディネーターとして関わっている人工呼吸管理の研修評価についての改善策をIDから構築していきたいことをアピールして入学資格を頂きました。

実際に入学されて、いかがでしたか。

約1年半は科目履修生として2科目程度の受講でしたが、その時点ですでに仕事と学業の両立の大変さを認識し、夜勤のない外来勤務に異動して、学業との両立に向けたライフスタイルに変えました。

それでもやはり仕事、家庭、学業との両立は厳しいものでした。もともと短時間睡眠でも大丈夫な体力がありますが、それでも睡眠時間を削りレポートに取り組む数年間はしんどい思いもたくさんありました。途中から勉強時間を朝型(基本4時起床)に移行してからは深夜のダラダラ疲れながらの勉強よりも、スカッとした状態で短時間集中した学習リズムがつき、自分には合った方法でした。

日々の学びの中では、同期やOBとの交流ができたことで、科目履修生のときの孤独さはなくなりました。何よりも専門性が違う社会人の集団で、教育改善におけるさまざまな視点で議論していく学びは本当に楽しかったです。

米国留学した時もあえて呼吸療法士という別の専門を学び、帰国後看護師だけでなく多職種への教育介入を実践している私にとっては、看護学という狭い世界で教育を語るより、GSISを選択して正解だったと思います。

学んだことは、どのように役立っていますか?

自組織での大小様々な研修の企画運営において、効果、効率、魅力的な研修内容とその評価方法について分析できるようになりました(完璧ではありませんが)。とくに研修効果を現場でどのように評価(測定)するかというこだわりが染み付きました。

そしてより学習者の立場に沿った研修の立案ができるようになったと思います。

また収束がまだ期待できないCovid19によりテレワークや在宅学習を強いられた日本社会におけるLMSの活用や遠隔教育の問題点(限界)が客観的に見えるようになったのは、多彩な履修科目で得た知識のおかげだと思います。

普段は、どのように学習を進めていましたか?

朝4時に起床、フレッシュコーヒーを飲みながら、そこから2−3時間勉強をしました。誰にも邪魔されない静かな空間で集中しやすい時間帯でした。またタスクを一つやり終えて出勤するときは気持ちよかったです。

学生間のコミュニケーションはどのようにとられていますか?

同期にはFacebookやLINEでこまめに連絡しあいながら、いろんな相談にのってもらいました。また履修科目登録前は、GSISのOBの方にも連絡してアドバイスを頂き大変助かりました。

14期生は皆さんとても親切で、特に素晴らしいリーダーシップをとって同期をまとめて下さったKさんの音頭でほぼ毎週土曜日の夜にZOOM Mtgを開催し先行研究を読み解く練習、履修科目で困っていること、修士研究の相談や中間審査や学会参加前のプレゼンの練習をしたりと、皆で学ぶ合う機会に恵まれていました。フランクに意見を述べることができる同期ゼミは、時にはぼやいて悶々とした気持ちを発散できたので、落ち込まずに前向きに進むことができたのは同期の支援のおかげだと思っています。

先生とのコミュニケーションはどのようにとられていますか?

主にメールでの相談が多かったです。科目履修生の時やM1のときは、ノルマをこなすのに必死で、そこでタイムリーにSOSを出せなくて苦しんでいる時期もありました。もっと気軽に周囲に相談しても良かったかなあと今になって思います。

M2では修士研究の主指導である合田先生にZOOM Mtgで何度か個人ゼミをして頂き、自分の取り組んでいる研究の迷いやつまづきをタイムリーに相談できたことで、それほどブレずに特別研究Ⅰ&Ⅱを遂行できました。

田町のオフィスアワーには数回ですが参加し、鈴木先生からの直球のアドバイスを頂いて研究の方向性が更に定まったことはとても心強かったです。まだCOVID19が発生する前は、このオフィスアワーのあと先生や先輩方とランチを兼ねて交流できる時間を通して、いろんな話ができたことも気分転換になりました。

専攻を修了して得た収穫はなんですか?

以下の5つです。

1)学習者が中心となる研修設計についての理論とその方法を学べたこと
2)IDによりOJTと研修がリンクする学びの評価方法について実践できたこと
3)ゼミによる学びでたくさんの意見交換ができたこと
4)卒業後も自分への学びが継続できるゼミの存在があること
5)学位が取得できたこと(学位は自分で掴み取ることがどんな意味なのかがわかりました!)

最後に、これから入学を考えている人にメッセージをお願いします。

社会人学生としてバランス良く学業と本業である仕事、自分を取り巻く家族への貢献をしていくことは自制心と決断力が常に必要だと思います。まずは学位取得に必要な最低30単位の履修をどのように実現化していくか、自分の環境を整えて行くことが第一歩です。

ある程度できそうな環境が見据えたら、あとは自分にコミットして、前進するのみです。何を研究したいのか、具体性を持って入学すると、いろんな履修科目の中で自分の研究の素材となる知識や情報に出会えるでしょう。

その中で先生方はもちろん、同じGSIS仲間との関わりは大切です。サテライトキャンパスでの授業はすごく楽しかったです。合宿に一度だけ参加しましたが、テキストメールだけではみえない「人となり」がわかることで、孤独感も半減し、人脈を有効利用して楽しく学ぶきっかけになりました。是非機会があれば合宿やオフィスアワーへの参加を推奨します。

(2021年5月メールインタビュー)

※ 登場している方々のご所属および本専攻のカリキュラムや科目に関する記述は、インタビュー当時のものです。