第4期生 麻生 和彦さん

麻生 和彦さん 第4期生
東京大学
大学院数理科学研究科 助教

本専攻に入学しようと思ったきっかけを教えてください

この専攻のことは、出来たときから知ってました。10年ほど前から数学の講義や講演をビデオ収録していてeラーニングに使えないかと本を読んだりして勉強をしてたんですが、軽く行き詰っていたときでし た。第1期の入学願書も取り寄せたんですが、まあ自分で何とか出来るだろうと思い、結局は受験しなかったんですが、試行錯誤する中で正直なところ独学で専門書を読んでも言葉や定義がわからなくてなかなか読めないことと、素人が手を出して失敗している事例を見つけて、これは教育工学を真剣にやらなくては駄目だと 思い入学を決意しました。入学前年の8月に説明会に参加して、そこで1期上の先輩の話を聞いて、本専攻の雰囲気や入試に向けてのアドバイスをもらえたのもよかったですね。

実際に入学して、eラーニングを受講してどうですか?

まずは文化の違いにとまどいました。私は理系だったので、研究方法が違いますね。それから、見るもの、見るもの、すべてが新鮮で、とても楽しいです。たとえばeラーニング概論のテキストを読んで「あっ、こういうことか、自分の考えには無かったな」とか、 そこからさらに参考文献を読んで、また発見があって、さらに参考文献を読んでという感じで、楽しくてしかたなくなってしまいました。その分、課題の提出は遅くなってしまって・・・すみません。

それからもっとディスカッションがしたいんですけど、なかなかできないのが残念です。一番の問題は自分が課題を出していないので、みんなとタイミングがずれているせいなんですが、タイミングが合っているときでも、みんな忙しいので、2~3回のやりとりで終わってしまうんです。 自分としては、もっと深く語り合いたいなと思ってました。しばらくして、東京組の他の受講生と直接会うようになったり、後期から始まるチーム課題でのオンラインミーティングでかなり解消されましたが。

あとは、オンライン上で先生からのありがたいお言葉が少ないなというのが意外でした。参考文献の提示はたくさんあるんですけど、読むのは一人でもできるので、ディスカッションの中で刺激的な言葉が欲しいなと思います。修士課程は、本を読んだりして自分で知識を獲得していくのは当たり前で、その知識を踏まえて自分の考えなんかをディスカッションすることが本来の勉強と思っているので、本を読むこと止まりになってしまうことがもったいないなと。覚えたての知識を使ってわからないなりにもディスカッションがしたいと。それがちょっとフラストレーションです。

教員や他の学生とのコミュニケーションはどうやって取っていますか?

同期とは、集中講義のあとに飲むことですかね。いろんな立場の人がいて、これは社会人大学院ならではですね。多才な人たちがいてすごく刺激を受けているので、合宿なんか楽しくて仕方ないですよ。もっとアカデミックな話をしようぜ!とみんなに呼び掛けて、朝まで語り明かしました(笑)。先生からは、課題が遅れまくっているので、ちょっとお呼び出しがあったりとか・・・(笑)。あとはオフィスアワーのときに、真摯に相談にのっていただいてます。

入学してからこれまでに、収穫だったなと思うことは何ですか?

教育工学の入口が分かって、どういった文献を読めばいいのか体系的にわかったことが一番の収穫ですね。今までは手当たり次第でした。それから、合宿で自分の研究について発表する場があったんですが、いろんな視点から意見をもらえたことが収穫です。たとえばマネジメントの視点なんて自分では絶対に思いつかないですよ。自分が入学前に悩んでいたことは、提供するeラーニングをいかにして見てもらうかという、ビジネス寄りのマーケティングの観点だったので、すごく勉強になりました。

学んだことは、今後お仕事にどう活かせそうですか?

いまのところ正直わかんないですね。職場は大学ですが、FDとかには直接関わっていないですし・・・。 今はビデオアーカイブスという、数学に関するあらゆるものをデジタル化して一般に公開するプロジェクトをしているんですが、これにeラーニングのエッセンスを加えられると一番いいんですけど。ただ、せっかく学んだことを活かして、新しい教育系のプロジェクトを立ち上げたいなと考えています。

本専攻へ入学を考えている方へのメッセージをお願いします。

受け身な状態では社会人の学習として成り立たないので、貪欲に、積極的に取り組んでください。そうすれば、その分返ってくるのは間違いないです。本専攻ではオフィスアワーをはじめ本人が望めば一流の研究者の生の声を聞けるチャンスはたくさんありますので遠慮せずにコンタクトを取ることをお勧めしますね。
あと、偉そうに言える立場じゃないんですが、課題の提出が遅れている自分がこうやって発言できるというのも・・・ここの専攻の懐の深さですね(笑)。

(2010年2月インタビュー)

※ 登場している方々のご所属および本専攻のカリキュラムや科目に関する記述は、インタビュー当時のものです。